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~月に恋い焦がれる~映画「ファーストマン」

人間はどうして未知なる体験を求めるのか? それも危険であれば危険であるほどチャレンジ精神が燃え上がる人がいる…。人間の本能にでも組み込まれているのだろうか?

今作のテーマである月面着陸といえば、教科書やドキュメンタリー番組・マンガ(主に『宇宙兄弟』情報)などで得た中途半端な知識しかないが、月面着陸、アポロ11号、ニール・アームストロング船長の3つはセットで覚えている人が多いのではないだろうか?そして、アメリカの国旗が月面にたなびいているあの映像――。 

今作はとにかく臨場感あふれる映像がすごすぎる! 見ている側もその場にいるかのような錯覚を起こす感じ。特にロケットの機内という超・閉鎖空間を撮る際、カメラと人物との距離が「これでもか!」というくらいに近く撮られており、機内の狭苦しさや、息遣いや体温がまるでにいるかのように感じられて、見ているこちら側まで息苦しくなってくるほどである。

さて、その「隣」にいた方(いてない!いてない!)が、今作の主人公、ニール・アームストロングを演じる我らがライアン・ゴズリング様です! チャラいバージョンでないのが、いささか残念ではあるがイケメンには変わりないので許します(どっから目線?)。

今作はニール・アームストロングが月面着陸を成功させるまでの1961年~1969年の8年間が描かれています。今から約57年前の話で、ロケットもまるで突貫工事で作られたブリキのおもちゃみたいな感じで、本当にこんなロケットで月にいったの?と疑いたくなるくらい薄っぺらい。私なら絶対に拒否するね。

テクノロジーが発展した現在の宇宙開発でも事故が多発しているというのに57年も前に人は月に行こうとしていたのだ…。「バカじゃないのか?」と言いたくなるが、月面着陸は人類の悲願、そしてテクノロジーの発展などを含めたソ連とアメリカとの代理戦争の意味合いが濃い。そうなってくるとバカとも言ってられない。

知識として知ってはいたが、月面着陸は容易なことではなく、数多くの人の命が犠牲となっていた。さらには莫大な資金が投下され、貧困に追いやられていた黒人の人たちが計画に対する抗議行動の中で、「(貧しい生活の中)妹はネズミにかじられたのに、White on The Moon(白人は”膨大な費用を使って”月に行く)」と揶揄されるシーンもあった。自らの命をかけてまで月面着陸を悲願とする人たちにとっては逆境の状況でもあったのだ。

ニールを含めたパイロット達は、危険があることを承知の上で覚悟を決めている。だって、自分が月に行きたいのだもの。恋い焦がれているといっても過言ではないだろう。しかし、残された家族、とりわけ妻はどんな気持ちだったのだろうか? そのあたりも今作ではきっちりと描かれている。

今作はニール・アームストロングという一人の男の人生を追体験した――という感想である。特に月面着陸したシーンは圧巻であった。人類の悲願であった月面着陸を実現した人物、ニール・アームストロングは、紛れもなく「ファーストマン」であった。

これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である。That's one small step for a man, one giant leap for mankind.

#映画 #コラム #感想 #008 #ファーストマン #0213

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