見出し画像

最初の金ペン万年筆で最高の1本に出会ってしまった

左利きに合う金ペンに出会いたい

2016年ごろ、手帳にハマっていた私は、「手帖サロン」というオフ会に参加していた。手帖サロンという名前ではあったが、文房具全般が好きな方の集まりだったので、参加者が持参した文房具をいろいろ触らせてもらえたのだ。

大量の万年筆を試筆できる機会があり、その佇まいに惹かれてしまい、自分の万年筆を買うことに決めた。

とりあえず手に取りやすい価格の万年筆からチャレンジしてみた。固めのステンレス製のペン先はカリカリとした書き心地。悪くはないが、独特のしなりがある金が使われているペン先、いわゆる金ペンで万年筆特有のヌラヌラとした書き心地も体験してみたい。

しかし、私は左利きなのである。

利き手によって書き方が変わるのをご存じだろうか。右利きは「引き書き」、左利きはいわゆる「押し書き」になる。

「押し書き」は自然と筆圧が上がり、ボールペンはインクの出方が悪くなる。また、左利きは、「とめ」や「はらい」を書くために、手首を巻き込んで書いている。なので、右利きに合わせた筆記用具に合わせて、なんとか普通に書けるよう、左利きは試行錯誤しているのだ。

万年筆は基本的には、決まった角度で使う筆記用具だ。だけど、角度やら書き方を試行錯誤している左利きには、合わないものもある。

ならば、「どの角度でも」書けるペン先なら問題ないのでは。

PILOT|カスタム742 WA(ウェーバリー)

万年筆のペン先は、太さ別に「EF(極細字)、F(細字)、M(中字)」などがある。今回紹介する、PILOTのカスタム742は、15種類のペン先から選べるのだ。その中でも、WA(ウェーバリー)というPILOT独自のペン先が、左利きの万年筆ユーザーから評判がいい。

その特徴は、「どの角度でも」書けること。

通常、ペン先は内側に緩やかなカーブを描いている。ところが、WAはペン先が上向きになっているのだ。この独特のペン先が、あらゆる角度に対応して書きやすさを叶えている。

どの角度からも書けるということは、左利き以外にも、ペンの持ち方に独特の癖がある人にも使いやすいのではないかと思う。

ちなみに、カスタム743、ヘリテイジ912でもWAが選べる。

書いてみるとこんな感じ

月夜のかくれんぼ(青空文庫)/槇本楠郎著

実際に書いてみると、紙の引っかかりを感じずスラスラ書ける。文字の太さはM(中字)相当。ちなみにインクはPILOTの色彩雫、月夜を使っている。

角度を気にしなくて書けるというのは、ひたすら考え事をするために、ノートに文字を綴るのに向いていると思う。ペンが引っかかって、考えが止まらないのは気分が良い。昔の文豪達が万年筆を愛用した理由が分かった気がする。

運良くペンクリニックも受けてきた

この万年筆を買ったときに、ペンクリニックも同時に受けてきた。ペンクリニックとは、万年筆の専門家が無料で万年筆の調子の悪いところを調整したり、その人に合わせた書き心地に調整したりしてくれるのだ。

パイロットやセーラーなどの万年筆メーカーは、定期的に万年筆の専門家、いわゆるペンドクターが全国各地の文房具店などを回り、ペンクリニックを行っている。私は万年筆を買いたいタイミングと、ペンクリニックのタイミングがちょうど合ったのだ。

(残念なことに、コロナ禍においては、感染対策の面からペンクリニックの開催が延期になっていたりする。)

最初に付き合った人と結婚してしまったかのよう

「万年筆は1本買うと増えるよ」と先人達は警告?してきた。

しかし、最高の万年筆を、最高の状態で手に入れた私は、初めて買った金ペンで満足してしまった。そのため、しばらく次の万年筆を買わなかった。まるで、最初に付き合った人と結婚してしまったかのよう。

今まで万年筆を使ってみたけど、イマイチしっくりこなかった方は、WA(ウェーバリー)を試してみて欲しい。

そこから運命の1本として落ち着くか、万年筆の沼に溺れて増えていくかは、あなたしだいだ。

▼今回ご紹介した万年筆はこちら。

▼今回使ったインクはこちら。

ご興味あったらこちらもどうぞ

文具マガジンやっています。他の万年筆レビューが気になる方はどうぞ。

▼「左利き向け文具」記事まとめはこちら。ボールペンやつけペンなど書く文具から、ハサミや定規まで幅広く紹介。

▼こちらは、PILOTのキャップレスデシモについて書いたもの。


この記事が、共感できるな・おもしろいなと思って頂けたら、「スキ♡」を押してくれるとうれしいです。(♡はnote会員以外でも押せます)SNSでのシェアも大歓迎してます!