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キャップレスがなかったら万年筆から離れたかもしれない

子供が産まれる前はがっつり趣味の時間が取れたが、幼児持ちになってからずいぶんその時間も減ってしまった。文房具を集めたり、使ったりすることもその一つだ。万年筆も好んで使っていたのだが、何しろ書き出すまでに時間がかかる。

紙を選ぶ、インクを選ぶ、インクを入れる……キャップをひねる、手持ちの万年筆はインクが固まらないように定期的に使う、使っていない万年筆は洗浄する……優美な動作で構成される「万年筆で書く」という行為が、時間のない子育て中には合わなかった。

購入した独身の自分を褒めたい一本がある。パイロットの万年筆「キャップレス」だ。

インクが揮発しやすい万年筆は、一般的にはネジ式のキャップを採用している。ボールペンはペン先のボールがインクの揮発を防いてくれるのだが、万年筆はそれらがないインク溝から出ていくからだ。ところが、キャップレスはその名の通り、キャップがなくノック式の万年筆である。ボールペンのようにワンノックで使える便利さと、気密性の高さでインクの乾きを防ぐ機能を持った万年筆だ。

「キャップレス」でもコンバーター(インク瓶から直接インクを吸い上げるインク吸引機)は使えるのだが、あえてカートリッジインクのブルーブラックを使っている。カートリッジインクはコスパは悪いが、インクが無くなったときに、カードリッジを差し込むだけなので、比較的簡単に取り替えられるからだ。忙しさでうっかりインクを入れ忘れて、ペン先を乾かす心配が少なくなる。

ちなみに愛用しているのは「キャップレスデシモ」の限定品である。購入理由はパールホワイトのボディとゴールドのトリムが気に入り、完全に見た目が好みだったからだ。買った当初は、優美に万年筆を使う自分が好きだったこと、インクの濃淡が分かりやすいペン先を好んだことから「キャップレス」の出番が少なかった。

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今では、その手軽さとニュートラルな書き味が気に入り一軍に躍り出た。手帳にささっと書くのに便利なのだ。多分「キャップレス」がなかったら私は万年筆から離れてしまったかもしれない。

道具としての万年筆と、嗜好品としての万年筆を両立させる、お気に入りの1本だ。


こちらは通常バージョンのトリムがシルバーのもの。


文具の話を色々しています。ご興味あったらどうぞ。


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