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月曜モカ子の私的モチーフ vol.184「幼馴染」

「あんなそんな真ん中歩きなな!(歩いたらあかん、の意味)そこ神様通るとこやんか!もっとはじっこ歩き」
                          
幼馴染に背後からそう言われたのは伊勢神宮での下宮での出来事。
もっとはじっこ歩きと言われると自分がふてぶてしい人間なのではという気になって恥ずかしい。
                         
「あんた神社での手の洗い方とかも知らんやろ」
そう怒られてしまったのだがこの時点では
(いやいやアラビア以降のスピ旅、スピ経験値――神社仏閣含むーーでは神様についてもわたしの方が詳しいはず)
と思っていたので私は、
                       
「知ってるで、左手、右手、ほんで左手で口をゆすいで、その左手をまた清めて最後に柄杓をゆすいで終わりちゃうの」と答えたらば、
                         
「あれは基本的には柄杓(ひしゃく)1杯でやるもんやねんで。あんたジャブジャブ使うてたけど」
と言われて唖然。
また、水贅沢真ん中歩きの“フテブテ族”の気配再来である。その後「そういえばあんたって神社で結婚式したよな!」と言うことをわたしが思い出し「そやねん、うち結構、神様にはうるさい家なんや」という話を聞いて
「わかったわ、もうこれはご神託やわ、あんたがガイドやわ、とりあえずあんたの言うことに全部従うし」
ということに話は落ち着いた。

(☝︎限りなく真ん中を歩いている叱られる前の私)

9月の終わりに伊勢神宮を幼馴染と参ったのだけど、
この幼馴染とわたしは5歳くらいからの付き合いである。わたしは大学あたりまでムーミンと呼ばれていたのだが、そもそもこう呼び始めた元祖は彼女で、彼女がいつも高い位置でのお団子ヘアをしていて、ムーミンの「ミー」みたいだったので、彼女のことを「ミンミン」と呼び始めたならば、いつも一緒にいたわたしは自動的にムーミンになった。結婚して三重に住んでいるので、泊まりがてら伊勢神宮に行こう〜という話は前から出ていたのだが、数年経ってようやく実現した。
                          
行くまで気がつかなかったのだが、伊勢神宮は、小学校の修学旅行以来2度目らしい。らしい、というのもわたしは伊勢神宮は全く記憶がなくって(うっすら記憶していたのは滋賀の立木観音さんだったことがその日判明)、わたしが「遠い昔に来たような気がしてたけど初めてかもしれん」と言うと、「なんでよ伊勢神宮、修学旅行で来たやんか。夫婦岩でわたしとあんただけ靴下脱いで洞窟みたいなとこ入って、その後の集合写真、くつした持って写ってるやんか」という話になって、何たる奇遇、わたしはこの「お伊勢さん」という神宮に来たのは人生これが2回目、そして最初も、そこから30年ほど経った2回目も、この同じミンミンと鳥居をくぐり、ぐるっと境内を回っているのである。奇遇! そして不思議! そして不思議といえば、彼女の二人の双子の息子くんである。
                          
この二人は石と惑星になぞらえた名前が付けられており、ここでは仮に、ラピスくんとヒスイくんとしよう。
二人は二卵性双生児だけど、見た感じ本当に区別がつかなくって、すぐにどっちがどっちかわからなくなる。
よくしゃべり人見知りしないのが弟のヒスイくんで、お兄ちゃんらしく色んなことを衝動的には行わない、甘えるのが下手っぴなのがラピスくんで、よく観察していると性格で区別がついてくる。

                          
ミンミンがわたしを迎えに来てくれて、田舎にこんなとこあるん!? というおしゃれなイタリアン(ミンミンバイト先)でパスタを食べながら、「それにしてもあれやな、これやな・・・」とぺちゃくちゃしゃべって、しゃべりまくって、一定時間が過ぎたときに、つと口を開いて、
「お母さん、お話の方は満足いくまでお済みでしょうか」と尋ねたのがヒスイくんだった。笑。
                         
「えっ!? この家では息子が発言する前に、発言の許可もとるんか!!」とわたしは驚いて笑い、そやなわたしらしゃべりすぎてるな、ということでまずは自宅へ、その後2人は辞めたくてしょうがないスイミングに出かけて行った。

                          
この双子くんたちは、さかな君に憧れていて、その憧れようは、テレビでさかな君あてのFaxが読み上げられるほど。二人は将来海洋学者になるべく日々魚のことを研究していて、そのために水泳もやっているのだが、運動は苦手で泳ぐのは嫌い。
最近スッキリのコメンテイターにもなった元オリンピック選手の松田さんが三重のイベントに来た際は、テレビのインタビューも受けたが
「将来やっぱりオリンピック選手を目指しますか!?」
というテレビ的な質問に、
「いや、僕は海洋学者になるのでオリンピックには出ません」と、
いつかノーベル賞でも取った時にテレビ局が探しに探して流すのではないかというようなブレないコメントをし、しかし“現在“テレビ局が求めていた答えではなかったので放送ではその部分をカットされた。笑。
                          
最近13歳の天才ウクレレ少女や、10歳のピアニストなど、自身の目指すべき道を生まれて数年で決め、もしかして前世の続きをやってる!? というくらいものすごい勢いで伸びていく子供達が話題になっているけれど、
二人を見ていると、そういうものの片鱗を感じる。
伝えておくが、幼馴染の家は、ごく普通の幸せな核家族なのである。誤解されないよう加えると、例えば家族が学者一家であったり、教育に熱心な血筋であるとか、漁師や船関係の仕事に就いていたりなど「ああ、そうなるよね」という家庭環境の中で生まれた夢ではないのである。

                          
今の新しい子たちは、どういう流れで、どんな秘密と役割を担って、宇宙の果てからこの地球にやってきたのだろうか。

                          
二人は石にも興味があったので「石にはちょっとモカコさんうるさいで〜」と双子たちと、石や鉱石についての談義をしばしし、二人と一緒に最寄りのコンビニまで出かけた。最寄りコンビニは歩いて15ふん、ちょうど中秋の名月の日で、多少曇ってはいるものの月がとても美しかった。

                          
確かヒスイくんの方が、青いストローで正四面体(ピラミッドの形)にしたものに毛糸を通した手作りのネックレスをくれて、わたしが「ピラミッドやん、やばいやん、明日伊勢神宮に行くのに、お守りにしていくわ!!!」
と狂喜乱舞して、友人のスピリチャルMが言うにはわたしには今、古代エジプトの先祖がついてるんやねん!!
というと幼馴染は「そんなに喜んでくれてよかったわ・・・」と多少大人の笑いを含みつつ、首からヒスイピラミッドをぶら下げるわたし⇩を眺めた。
(月モカ読者さんならご存知、昨年この頃ユカワさんとのお別れがあって、実はその後、わたしが愛し抜いてきた人魚ともさよならをし、そんなこんなで妖怪や得体の知れないものたちしか周りにいなかったわたしに、今回初めて先祖がーしかもエジプトのーやってきたんであります)

                          
このピラミッドは次の日伊勢神宮にいる間ずっとぶら下げていて、現在はスピグッズをしまうところに一緒に大事に仕舞っている。(幼馴染としては、息子が作った毛糸とストローのネックレスを”ガチ”につけて伊勢神宮に出かけて行く大人というのも稀やし、アンタってやっぱ変やけど息子は喜ぶわ、という所かな)

                          
ともあれ、幼馴染や地元の友達というのはいい。
何者でもないところで出来上がっている関係はとてもフラットで、何年も会っていなくても、瞬く間に、時を戻してしまう。
最後に30年ごしに知った真実がある。
伊勢神宮を回った後、
「修学旅行の夫婦岩の写真をみよう」とミンミンが、リビングに持ってきた記念アルバム。
                         
「え!? 赤やん!!!!」
わたしがびっくりしているとミンミンが意味がわからない様子で、
「赤がなんやの。みんな赤やんか。全員赤色のアルバムもらったやん」
え?
え? え? 
                        
「・・・わたし、青なんやけど・・・」
「え? 女の子はみんな赤やで」
「でもわたしは青」
「・・・笑。じゃあ、あんたの席に間違って青置かはったんやわ」
                         
「つーか全然今まで知らんかった、アルバムに赤とか青とかあること!全部青やと思っていたわ!!!!」

                          
まさかのわたしだけ女の子なのに青を配られていたかつての手違いに今更爆笑。男の子と女の子をこんな風に明確に色分けしていた化石時代がもたらしたエピソードである。けれどわたしは女の子だけど、なんの疑問も感じずに、この年になるまで「気いよう(いい気分での意味)」青いアルバムを持っていたわけだから、やはりそもそも、男女による赤青区分なんて、必要なかったのである。女でも青で、無問題なのである。
しかも、区別してて間違えてるし。

                          
伊勢神宮は荘厳だった。アラビヤでシルバニヤス島に一泊した時、ここには世界中のロイヤル(王族)が来るのですが、本物のロイヤルたちは華美な装飾や絢爛なあつらえを求めていないのですということで、シンプルなデザインだけれども、1部屋1部屋が家になってそれなりに離れていて、目の前にプライベートビーチが果てしなく広がる作りだった。そしてビーチすらも自然そのもので手を加えず、明け方には動物たちの足跡なんかが点々と付いていたことを思い出して、そういうことかと思った。
伊勢神宮は総本家なわけだからさぞかし真っ赤でド派手な鳥居があるのかと思っていたけれど、違った。
だからまた来たい。
                          
次回も幼馴染の家に泊まることになるだろうけれども、
旦那さんのウイスキーをロックで飲みまくって、
ろれつの回らない舌で「ほんまにええ夫婦や」を連呼して、「もう寝なさい」と
布団の上に連行されるような粗相だけは繰り返すまいと思っている。ずっとお酒を飲んでいなかったし、旦那さんが話しててちょっと知性や軸の持ち方が面白い人で楽しかったので思わず飲みすぎた。
反省しています、ごめんなさい!笑

               (イラスト= MihoKigo )

☆モチーフとは動機、理由、主題という意味のフランス語の単語です。

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