見出し画像

ベーシックインカムと社会保障ってトレードオフなの?

「ピンチをチャンスに変える日本大改革プランを今準備している。それは可処分所得を倍増するため税制改革と社会保障改革、成長戦略を一体としたものだ。まず国民に1人6万円のベーシックインカムを保障する。それに伴い、生活保護や児童手当、基礎年金等を廃止する。働き方改革や徹底した行財政改革も行う」

 「消費税率を2年間5%、その後8%に下げて消費を喚起する。法人税や所得税のフロー大減税を行い、フェアでシンプルな仕組みとする。もっとも、当面はコロナを抑えることが一番の景気回復策だ」

こんな記事を某議員が引用ツイしていたので、ついついnoteにしてしまったわけやけど。

6万円のベーシックインカムを導入する代わりに、生活保護(10万くらい)や子供手当(15000円3歳以上は1万)基礎年金(6万5000円)などを廃止していいわけない(早くもタイトルの問いかけの答え)というのは、まあ置いておいて。
とりあえず、この維新の代表は社会保障費を削りたいわけですね。(この人に限らず多くの政治家が)

下の図を見てもらうと分かると思うんですけど、日本政府の支出って、国債関連除くと、社会保障費が占めてる割合が多いんです。(次は地方交付税、つまり地方自治への補助。)

画像1

財務省HPより

画像2

①『社会保障』年金、医療、介護等を給付するための支出であり、高齢化などの要因によりこれまで毎年1兆円規模で増加してきた経費。

と社会保障費に説明されてますが、もうここに答え書いてますね。(そのうえにもっとヤバいこと書いてますね。。。)

つまり、政府にとっての最大の支出は社会保障です。


そして、政府にとっての最大の支出であるこの『社会保障費』は

人口動態によって変化するんです。


例えば、今の日本よりも若年層が多く、老齢層が少ない人口比率の経済を想像してみてください。※人口と税率と失業率は今の日本と同じであると仮定します。
その経済は老齢層が少ない分、社会保障費はきっと今よりも少なく、労働人口が多い分、少なくとも税収は今よりも多くなるはずですね。
相対的に政府の赤字も今よりは少ないのではないでしょうか。
例えば、高度経済成長期から80年代前半のころの日本なんかがそうだと思います。

画像3

財務省HPより

画像4

内閣府HPより

まあ、このふたつのグラフから何が分かるのかは僕もよくわかりませんが、参考までにとりあえず貼ってみました。

で、人口動態というのは、景気変動と同じで常に一定の状態を保つなんてことは、そもそも無理です。
その時々の経済状況に左右されるはずですから。

例えば、今の日本よりも遥かに生産性が低い時代、または国では今の日本よりも出生率が高いはずです。(もうグラフは貼りません)
なぜならば、そういった経済では生産性の低さ、つまり設備の脆弱性を補うためのマンパワー、労働力を必要としているからです。
そして、そういった社会では高等教育、大学教育よりも労働を優先せざるを得ない子供たちが多いはずです。

逆に生産性が高い日本のような主要先進国は程度の差はあれど、どの国も高齢化(労働力が減少)しています。

近代の経済が成熟していく過程で高齢化(労働力の減少)は避けられないんですね。

ただ、この高齢化社会がこの先ずっと続くのかというとそんなことはだれにも分かるわけありませんし、人口動態というのは、その時代時代で変化していくものです。

ですので、この先も、その時代時代の人口動態に合わせる形で社会保障費も増えたり減ったりと変化していくでしょう。

つまり、どうしようもない支出ってことです。非裁量的支出といったりしますね。人口動態が主要因なので、解決するには人口動態を変化させていくしかないでしょう。

しかし、この人口動態によって増減する社会保障を減らしたり(社会保障受給者の購買力の抑制)、または社会保障による赤字を減らすために増税(主に現役世代の購買力の抑制)をすればどうなりますか。

社会保障を減らして、社会保険料を上げると受給者層、現役世代ともに所得が減ります。
所得が減ると、消費も減ります。消費が減ると利潤も減るので、企業は投資を減らすでしょう。投資を減らすと、所得が減り、消費が減ります。(ループ)

受給者層(親世代)は相対的に生活が苦しくなり、子世代へのサポートは少なくなるでしょう。
現役世代(子世代、孫世代)も相対的に生活が苦しくなり、親世代からのサポートも少なくなっています。

そうならないために、社会保障は減らすべきではないんですね。
というか、

社会保障は減らしたらダメです。


MMTとかだと、社会保障を(景気)自動安定化装置といったりします。
つまり、社会保障があることによって、所得を下支えすることにより、景気変動の下振れに対してブレーキをかけるための機能なので、いたずらに減らしたりしてはならないんですね。(減らすとマイナスの景気変動が促進される)

というのも、労働人口が減少すると景気に下降圧力がかかります。
社会保障というのはリタイア世代、または何らかの理由により労働できない、できなくなってしまった人たちの所得を下支えするために設計されています。
所得がなければ、消費ができないですから。(といっても、所得があっても、実資源、財・サービスが所得にともなっていなければ、財・サービスを享受することはできないといったことがあるので、高齢化自体は深刻な問題なのです)

繰り返しになりますが、財務省が自らのホームページで説明しているように、社会保障が増加していってる主要因は人口動態の変化(高齢化)なので、反対に減らすにも人口動態の変化(若齢化)しかないわけです。

なので、政府は若齢化社会実現化、つまり出生率を上げるような政策をどんどんすべき。

と言いたいところですが、人間の価値観は人それぞれなわけで、経済的要因を考慮するしないに関わらず、子供を欲しいと思わない人、子供は一人でいいと思う人、沢山子供が欲しい人、そもそも結婚したくない人、などなど様々です。(もちろん、政府は今以上に子育て支援はやらなければならないという前提)

人の人生というのは、人の数だけあって、自分が人生をどのように生きたいかといった価値観に優劣などありません。

なので、政府がやるべき政策はどんな人生を選んだとしても、人口動態がどうなろうと、幸福かつ安全に暮らせる社会作りを目指すものである必要があるわけです。

ぼくの好きな言葉に、景気変動に人の人生を従属させてはいけない、またはそのような政策をとってはならないというのがあるんですが、同様に財政規律とかいう訳のわからないものに人の人生を従属させてはいけないんです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?