『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』まとめ
今週の読書録です。
◇印象に残った部分
・会計は会社の実態を正確に映し出す鏡ではない。会社は遊園地のマジックミラーのように、実際の姿より痩せて見えたり、太って見えたりもする。事実に近いけれど、あくまでその姿は『近似値』である。
・真実を表現した決算書はこの世に存在しない。決算書が伝える情報には、会社の主観が織り込まれている。その主観によって利益は変動する。
・リストラとは現金を生まない資産を処分すること。固定資産の中にはそれ自体の維持に必要な現金すら作り出せないものがある。こうした固定資産は保有しているだけで現金を浪費するから、真っ先に処分して現金に換えるべき。現金を生まない資産を処分して、元の姿である現金に戻すことがリストラの第一歩。
・大トロよりコハダの方が儲かる。大トロは仕入れ値が高く、しかもいつ手に入るか分からない。なので、市場で気に入った大トロがあれば多めに仕入れる。全て売り切れるまでに1か月かかるとすると、最初支払った現金がすべて回収されるまでに1か月かかるということだ。
一方、コハダは仕入れ値は安い。また、新鮮さが売りだから一度に大量に仕入れることはできない。1日分仕入れて、その日のうちに売り切るとすると、今日仕入れたコハダは店を閉めるときには全て現金に変わっている。
・『売掛金+在庫』を買掛金以下にする。『売掛金+在庫』が買掛金より多いとその差額だけ運転資金(現金)が足りなくなる。逆に買掛金が『売掛金+在庫』より多い時は他人のお金を使って商売をしていると言える。つまり、売掛金+在庫―買掛金はゼロ以下を目指すべき。
・売上高から変動費を差し引いた金額を限界利益と呼ぶ。売上高から差し引く変動費の範囲は、どの尺度を使うかによって異なるから、限界利益は一つではない。
・顧客のニーズを絞り込めないのは経営者やデザイナーに自信がないから。自信がないから製品の種類を増やし、ブランドを増やす。どれかが当たってくれればいい、と思っている。これでは消費者に受け入れられれるはずがない。
・ブランド価値とは目に見えない現金製造機だ。目には見えないブランド価値であっても、現金を稼ぐ力であれば、バランスシートに資産として計上するのは極めて当然。
ブランド価値の具体的な評価方法は、「ブランド製品が、ノンブランド製品等を上回って、将来にわたりどれだけの現金を超過的に稼ぎ出せるか」で評価する。
・儲かっている会社は優れたブランド価値だけでなく、その会社独自のビジネスモデルを持っている。例えば、きゃのにゃエプソンなどのプリンターメーカーはプリンター本体の販売価格を安く抑えて、インクカートリッジで利益を上げている。
・子会社に見せかけの製品販売をする。そして打った製品を元の価格で買い戻して、また売った。取引はペーパー上の操作だけで行って、製品は倉庫に保管したまま動かさない。同じ製品を子会社との間で売ったり買ったりすることで、売り上げと利益が積みあがる。これがよくある粉飾決算の手口。
・粉飾決算を見抜くためには、バランスシートの科目を3期分横に並べて、金額が突然大きく増えたり、減ったりした科目に注意する。また、在庫、売掛金、仮払金、繰越資産などは粉飾に利用されやすいので要注意。損益計算書も同じようにチェックする。
・工場維持費(固定費)を減らし、材料費(変動費)を削減して、製造スピードを速くすれば製品原価は下がる。
・経営者の仕事は機会損失を最小にすること
・中国では簡単に会社を撤退できない。会社を清算するには中国政府の許可が必要になる。許可が下りるまで現金は垂れ流し状態になりかねない。
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