いらなそうで実は大切なこと、ストーリーの力。
どうも、最近記事のために色々な動画を見漁っている私です。
CMでも企業のPRでも、大学広報でも事例動画でも…ジャンルに限らず、ジーンとくるいい動画って必ずあるんです。
そういう動画に出会う度にいい動画の条件について考えていたのですが、なんとなく見えてきたものがあったので、今回はそれについてお話しをしてみたいと思います。
今回のテーマは「動画を輝かせる、ストーリーの力」です。
ドラマは心を揺さぶる
TVで何気なくCMを見ていると、思わず胸が熱くなったり泣きたくなったり、前向きになって奮い立たされたりということがよくあります。
例えばこれ。
東京ガスのCM。
https://www.youtube.com/watch?v=ALyk5kn0MRY
ベタな展開ではありますが、温かなお母さんの語り口調が感動を誘います。
休日の朝、テレビで初めて見たのですが、疲れていたこともあって目頭が熱くなってしまいました。
他にも、こんなCMもあります。
YouTubeのおすすめにサジェストされてクリックしたのですが、思わず見入ってしまいました。
そもそも映画並みのクオリティの高さというのもありますが、日頃恋愛ドラマを見ない私もときめきを感じるようなまさにいいCMです。
CMを見ていると、時にその企業やブランド、製品に愛着が湧いたり、憧れを感じたりすることがありますね。
いままで全然興味なかったけど、私もプレゼントもらうならティファニーがいい!みたいな。
私にも子供ができたら、手作りチーズケーキをみんなで食べるような家庭にしたい!みたいな。
これは相当誇張しましたが、いいCMであればあるほど見る側が影響を受ける部分も大きくなります。
映像制作会社に勤める身としてはこういうのを見ると、これぞ映像という豊かな情報を発信してくれる媒体が持つ、コミュニケーションの力なのでは、と思いたくなるわけです。
共感の「母の愛情」、憧れの「ティファニー」
さて、ここからは見る側の心を揺さぶるいい動画の条件について考えていきたいと思います。
これらのような動画を見ている時、心打たれてしまうのはなぜでしょう。
より細かく言うとすれば、これらのようなCMを見ている時に、企業やブランド、製品ごと好きになってしまうのはなぜでしょうか。
私はそれが「ストーリー」という要素の中にあるんじゃないかという答えにたどり着きました。
ストーリー、物語には登場人物がおり、その人がどのような体験をしているのか、その一部を私たちに見せてくれるものです。
その中では登場人物たちが何かに感情を高ぶらせたり(東京ガスでは「母の愛」)、何かに葛藤したり(ティファニーなら「仕事と恋人との時間の両立の難しさ」)します。
この一連の流れを目の当たりにした私たちは、この時登場人物の気持ちを慮って共感する、さらに言うと自分ごとのように感じ感情移入をさせて楽しんでいます。
共感や自己投影は、憧れという感情を醸成します。
身近に感じた存在のハッピーな姿を見ていると、私もこうなりたいと感じる。
つまりドラマ仕立てのCMは共感によって好感や憧れを引き出し、それがそのまま企業、ブランド、製品にまで投影されるようになっていくわけです。
先にあげた二つのCMには、役者さんが決められた脚本を演じるというわかりやすいストーリーがあるので、特に効果が強いのではないでしょうか。
エピソードというストーリー
ストーリー、共感と動画の関係性について整理しながら、企業広報などにもこのストーリーの力が使えないかなあと考えていました。
しかし、役者と脚本を用意したドラマという形式は、予算も時間も制約があって企業広報といった用途で使うにはなかなかハードルが高いかも。
だとすると、ストーリーと共感の力を使うのは難しい?
ストーリーとは何もドラマだけではないと思っています。
こういったB2Bのビジネスシーンやカスタマー以外にメッセージを届ける際の動画活用には、最適なストーリーがあるのでは。
それは人々のリアルな体験談、エピソードと考えることはできないでしょうか。
個人的に興味があり、よく大学広報や受験生向けの大学案内動画を見ることがあるのですが、そこでこのエピソードについて感じたことがあったのでここでご紹介しておきたいと思います。
多くの大学広報、大学案内動画では、在学生が大学の魅力について語るという構成がとられています。
「グローバルな教育方針が…」とか「綺麗な校舎で…」と大学を褒めているのですが、そういう動画は総じてなんだか言わされている感がすごい。
模範的な褒め言葉ばかりになると、学生本人が思っていることなのかな?と疑ってしまいたくなります。
ペラペラしているといったら良いでしょうか。
大学広報の主目的は大学の魅力を伝えることなので、そこに時間を割きたいのは当たり前なのですが、それによって実は大事なところまで削いでしまっているのでは?と思ったりします。
そして逆に胸を打たれるような大学広報をみてみると、この大事な部分、つまりエピソードというストーリーを削ることなく生かして表現している。
学生がどのようなバックグラウンドを持っていて、どんな感性で何を重視して生活しているのか。
そういった具体的なエピソードは、学生が志す学問への熱量や部活動にかける思い、卒業後の夢を豊かに描き出すことができています。
そうすると簡潔な言葉よりも、「私も、僕も」と共感を抱くことが可能になります。
そして学生たちの憧れを醸成し心を動かすのだと、そう思います。
本質とはあまり関係なさそうなところが、実は伝えたいメッセージをより効果的に見る側に届けてくれる。
心揺さぶるコミュニケーションを、これからのビジネスで活用していくのもありなのかもしれません。
(記事:Nakaoka.)
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