事例動画はインタビューが命! インタビューは発注側がやる?
事例動画の肝はお客様のコメントです。インタビューの善し悪しが事例動画の出来を決めます。
そして、良いインタビューのためには情報のインプットが不可欠です。
でも残念ながら、情報インプットに手を抜くインタビュアーが増えているんだろうなと、いろんな事例動画を見ていて感じます。引き出したコメントが通り一遍で、躍動する感じがない。
もちろんインタビューにはテクニックも必要です。でも、テクニックだけではお客様のケースに近づけないのです。
では、ご発注者がインタビューすればいいのか。
確かにテーマとなる製品・サービスに関する知識は誰よりも豊かですし、お客様についてもご存じでしょう。
「動画制作会社のディレクターより発注側の我々の方が、企業や社会全体についての見識ははるかに豊かだ」…そんなご不満をお持ちの方も大勢いらっしゃるかと思います。
だから企業によっては、動画制作会社に任せずに、導入事例ご担当のマーケターが自らインタビューをなさることもあるようです。
ですが私は、発注側がインタビューなさるよりは、力量を持つ動画制作会社を何とか探し出し、そこのスタッフにインタビューを担当させた方が、結果的によい事例動画になると思います。その理由は大きく4つあります。
制作インタビュアーが必要な理由
理由の1つ目は、動画では、文字原稿のように後からコメントを追加したり整えたりすることが難しいからです。
だから動画のインタビューでは、その場で必要なコメントをきちんと頂戴する必要があります。
ナレーションを用いないのなら、主語も省略せずに語っていただく必要がありますし、接続詞も大事です。
時には、編集することを意識しながら何度も聞き方を変えて同じ質問をする。
これは、映像編集の知識がないとなかなかできません。
2つ目の理由は、第三者だからこそお聞きできることがあるからです。
製品・サービスを提供する立場と、導入したお客様との間では聞きにくい事柄も、制作会社のスタッフの質問ならお許しいただきやすい。
それを自覚してインタビューできるかは、インタビュアーの力量によるところが大きいのですが、それができれば「今さら」な質問も自然に聞かさせて貰えます。
そして、第三者から質問され第三者に対して答えるというインタビューの構造は、事例動画にある種の客観性や信頼感を与えると実感しています。
これは、お客様候補に向けてのメッセージである事例動画にとって、とても大事なことだと私は思っています。
そして3つ目の理由は、導入事例のご担当者さまには動画の撮影時にクライアントのお立場で、コメントの過不足や善し悪しを冷静に判断していただく必要があるから。
前述したように、動画のインタビューは現場が全てです。そこで撮れなかったコメントは、後から作ることはできません。
そしてなにより、マーケティングの視点でお客様のコメントを吟味できるのは動画を発注なさるクライアントだけです。
だからこそ、冷静にジャッジできるお立場でいるべきだと私は思います。
もしご自身でもインタビューしたいのであれば、インタビュアーに「追加のご質問は?」と言って貰うよう予め決めておけばいいのです。
直接質問するとインタビィーの語り口が変わってしまうことがありますので、そこは配慮が必要ですが。
インタビューという職人芸
そして最後にもう一つ、制作側の優れたインタビュアーに任せるべき大切な理由があります。
それは、インタビューとは繊細な技術が詰まった職人芸だからです。
ただお答えを引き出すのではない、「共感できるストーリーを提供する事例動画」にするためには、インタビューの聞き手と語り手の間に“グルーヴ”を作り出さなければならない。
映像はグルーヴ感を真っすぐに表現できるのが強みです、それを編集して動画としてカタチにできればベストです。
インタビューをグルーヴさせるために、蓄積したインタビューの技術を総動員する。インタビューに臨むスタッフ達に心がけて貰う大切な姿勢です。
(記事:ホンマヨシカズ /producer)
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