患者さんからもらった言葉

患者さんからもらう言葉で、
看護師は少しづつ変化していく。

ある日、
90歳近い女性の患者さんの部屋で、

「ちょっとおじさん、カーテン閉めてくれる?」

と、
ベッドに寝ているその女性から声をかけられた。
私が35歳の頃のこと。

人から初めて、
冗談抜きておじさんと呼ばれたので、
その時のことは衝撃とともに覚えている。

それから、
考えた。

自分のことをおじさんと自覚するのはいつなのだろう?

周りの人に「おじさん」と呼ばれる機会が増えて、
だんだんと馴染んでいくのだろうか?

もしそうだとしたら、
馴染むまでの期間で、けっこう精神的にダメージを受けそうだ。

しかし馴染むときが、
はたしていつかやってくるのだろうか?


他人を「おじさん」とか「おばさん」て、
呼ぶのはやめようと思った。

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