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耳の中、爆発した⁈


幼少の頃時々、全ての声や音がめちゃくちゃ
大きく聞こえてくる現象に悩まされていた。

閉め忘れた蛇口から溢れる水の音が
滝のように聞こえたり、、ホンマに家ごと流されるんちゃうか思うくらい。

家族の食事の音が
工業地帯のイカつい機械音みたいに聞こえたり、、
家が大きい何かに取り壊されるちゃうか思うくらい。

中に人が居ます!
今、壊すのは一旦やめて下さい!くらいに、、

人の会話が、聞き取れない程大きい。
大きいというか、スロー再生したみたいに、
うぉーぅうぉーぅうぉーって聞こえたりする。

飼ってた犬にも
今日コイツに喰われる、、って何回も思た。

鼓膜に異常があったのか、精神的なものなのか、
理由は、今となっては知る由も無いけど。

誰にも言われへん、言ったらあかん。

なんでかわからんけど、そう思てた。

ある日、夜中に飛び起きた。
寝てる最中に発症するのは、初めてやった。

例の如く、エゲツない音が耳に飛び込んで来る。
窓からは、悪魔の化身が入ってくるんちゃうか
っていう風?の音、、

これは、さすがに恐かった。
真っ暗やし、現実と夢の分別もつかず、、
パニックになりそうやった
なってたかもしれん。

家の何処かにいるはずの母を探した。
三半規管がアホになって、何回もコケかけながら
暗闇の中、必死に探した、、
廊下の先に淡い明かりが見えた、、

近づく程、明るくはなるが
それに比例して、滝の音が大きくなる。
近づきたいけど、近づきたくない、、

母は、風呂に入ってた、、
子供を完全に寝かしつけたと思い
一人で、お気楽入浴タイム中、、

愛しの我が子が、悪魔の化身に追われて
滝に流されそうになっているとも、つゆ知らず。

僕は、究極の選択を迫られていた。
このまま生贄として魔界に連れて行かれて
魔王の餌食になるか、、それとも、、、

意を決して滝の中に飛び込んだ!

滝の中には、産まれたままの姿のキョトン顔の母。

今思えば、なかなかカオスな光景やけど

とにかく僕は、必死やった、、、
自分の声さえも聞きたくなくて
最初は、身振り手振りで状況を伝えようと試みた。

耳に手をあて、うずくまってみたり、、

頭を押さえて首を振ってみたり、、

左右の人差し指で、両耳を指して

手をグーにして耳にあて

パーにしながら、腕を広げたり、、すると母が

「耳の中爆発した?!」


えっ?爆発?うそ?
どうなってる?逆に。

突拍子もないリアクションのおかげもあり、
ちょっと冷静になれた気がして
「ぼ、ぼ、ぼ僕、、、」と
今自分に起きている状況を少しづつ話し始めた。

今までも何度もそうなったこと
すごく恐かったけど、誰にも言えなかったこと
涙ながらに訴えた、、

当時の日本語力で、どこまで伝わったかは
定かではないが、持ってる引き出しを全て開け
言葉にして伝えることに集中した。

不思議なことに、言語化するにつれ
滝の音は静まり、悪魔は過ぎ去り
冷静さを取り戻していく自分が居た。

少なくとも
「今までっ気づいてぇっあげられなくてぇっ
 ごめんねぇぇぇーー」

と大泣きする母より冷静だった自信がある。


人生には、どうしようもない程
難しいこと、苦しいこと、辛いこともある。

人に言えなくて、その苦しみを一人で
抱え込んでる人が居る。

全てを一瞬で解決する魔法は無い。
少なくとも、俺は使えない、、

でも、一つ言えるのは
言っちゃえば楽になることも中にはある。

そんな簡単なことちゃうねん!
って言いたくなるのは、解る。

解るけど、言葉って意外とスゴい。
言語化することによって、気持ちが整理されたり
誰かがヒントをくれたりすることもある。

誰かに頼ったり、上手く伝えられなかったり
するのは、なんにも恥ずかしくない。

人に対して何かを伝えようと思ったり
伝えようとしている人の声に耳を傾けたり
みんなが、そう思えば、世の中ちょっと
良くなるかも。

自分の中にも、どこか近くにも、、
聞き逃してる大切な声、無いやろかぁ、、


耳をすませば、、、、

なんか、すんません。