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復職後の職場定着、背景と対処法

企業において、休業からの復職や、離職期間からの再就職する人材がいる場合、復職後の定着支援が重要な施策の一つです。体力の問題や新たに家族ケアが必要になったなどで、短期離職するケースもあるからです。キャリア相談でよく寄せられる事例から、背景と対処法についてお伝えします。

短期離職の背景と対処法

よくある3つのケースは、以下の3つです。

☑両立の難しさ

休業や離職中に、家事や家族ケアをメインにしている方が多いものです。これまでの生活のペースをそのままに仕事をアドオンすると、忙しさが倍増して仕事について行けず退職してしまうというケースです。どれほど短い勤務時間や週2・3日勤務等を選んだとしても、仕事外の時間でフル稼働していたら疲弊してしまいますね。家族や外部サービスを取り入れて、生活のペースを変化させるとよいですね。

企業としては、先輩の事例の紹介や、復職セミナー等でサポートすることができます。


☑現実とのギャップの大きさ

思い描いていた復職後の自分の姿と、現実とのギャップに動揺し、自信を無くして退職するというケースです。子供の学校や地域の運動会に参加したら、体がイメージ通りに動かずにこけてしまう、仕事でもそのようなことはあります。年齢も重ねています。ビジネススキルのブラッシュアップや体力維持を図っておくとよいですね。

企業としては、復職までにやっておくことの提示や、復職後の面談で本人の状況を理解しておくことでサポートすることができます。


☑受入れ環境の未整備

企業によっては、受入れ部署のメンバーが、復職人材や再就職人材の役割等について理解できていない場合があります。一方で、復職・再就職人材からは、受入れサポートがあると言われていた等と、職場への期待が大きい場合もあります。トラブルが起こった際に、「受け入れてあげたのに」「サポートがあると言われていたのに」等と双方に不満が大きくなることがあります。

企業としては、個人のどのような能力や意欲に期待しているのかを本人に伝えるとともに、受け入れ部門には人材配置の意味について伝えておくことで、トラブルを改善することができますね。ダイバーシティ経営の一環として再就職人材の活用を行い、同時並行で従業員の介護や病気との両立支援を進める等と具体的に説明を行い、従業員の理解を深めた事例もありました。


個人と組織の関係構築

復職や再就職は、家事や家族ケア中心の生活から、仕事と両立する生活へのシフトが行われており、その間には様々な葛藤も起こることでしょう。けれども、それまでと異なる経験を積むことで、企業にも新たな視点やアイデアの導入につながることがあります。実際に、休業中の人材を対象にした研究では、社外も含めた人的ネットワーク力や仕事への新たな価値観等が磨かれたことが示されています。再就職では、自己啓発などでのネットワークが再就職後の離職を減らしているという研究もあります。

個人と組織のより良い関係を築いてシナジー効果が起こるように、考えていきたいですね。