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『友人の本棚~1分で読める感想分~』Vol.77「表現の技術」

「グッとくる」ほど、便利な言葉はないなと思う。ちなみに、便利な言葉の第二位は「ヤバい」だ。※個人の感想です。
あいまいなのに、伝わる表現。だからこそ、その中身を紐解いてみたい。

電通のカリスマクリエーターである筆者が、20年以上にわたって積み上げてきた「表現とは何か?」を一冊の本に凝縮した贅沢品。人の心を動かすためのヒントが満載、という意味では、あらゆるビジネスパーソン必読の書と言えるであろう(お前誰やねん)。

直木賞作家の木内昇さんとの対談で、彼女の小説の作法にふれたときにこんなお話を伺いました。
「できるだけ登場人物の行動で書くようにしています。感情を書いてしまうとそれで終わってしまうから。その登場人物ならこういう悲しみに直面したときにどういう行動をとるのか。そこを注意深く観察して書くようにしています」
この言葉を聞いたとき、僕が彼女の小説に小説の本当の魅力を強く感じていた理由がわかりました。同時にこれは、映像をつくるときにもすべてにあてはまることだとも思いました。具体的に説明してみます。

A
男がひとり応接室にいる。
男「くそう、緊張してきた」

B
男がひとり応接室にいる。
煙草に火をつける。が、灰皿にはすでに火のついた煙草がある。

行動を描写することによって、心情を表現する。これは意識的にやればやるほど、上達の予感がした。感情は人それぞれだけれど、その感情を味わった時にとる人の行動パターンは意外と似通っている。だからこそ、行動をベースに描写をすると、深みが出るのか。なるほど……と書きたかったけれど、ここは行動ベースに表現するなら、「むち打ちになるかと思うくらい、僕は大きく頷いた」。うん、4点。

「感情は振り子である」「人は笑うまえに必ず驚いている」など、他にも引用したいところが盛りだくさんなのだけれど、1分以内に収まらないので、とりあえずここまで。

ただ一つ言えるのは、僕がこの本を読み終えたときに思わず

「グッときた」


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