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『友人の本棚~1分で読める感想文~』Vol.61「オレたち花のバブル組」

やっぱり「勧善懲悪」&「事件解決」的なストーリーが好きだ。諦めなければ絶対に道はある、と思えるのも、強い信念があってこそ。時折そうした物語を読みたくなるのはきっと、身体が水分を欲するように、心を奮い立たせたる成分が、僕が生きる上で身体に必要な栄養素なのかもしれない。

半沢直樹が読みたい。休日に、ガッツリと。部屋に引きこもり、むさぼり尽くすように堪能した。

「オレだって、社長に進言してきたんだ」
野田は悔しそうに眼を逸らした。「“お前はいわれたように仕事をしていればいい”。そういわれたよ。オレはこの会社に二十年いる。ずっと課長のままでな。柱に打ち付けられた釘だ。わかるか? ぶらさげるカレンダーは毎年新しくなっても、オレはなにひとつ変わらない。錆びついていつか抜かれるまで、動くこともない。そういう人生、あんたには想像できないだろう」

社長の不正に黙ってしたがってきた経理の野田に詰め寄るシーン。会社を本気で立て直したいと考える近藤は、これを受けて答える。

「人生は変えられる」
野田の平板な目の中で、小さな驚きが鋭く弾けた。近藤は続けた。「だがそれには勇気がいる。いまのあんたはいじけたサラリーマン根性丸出しの、見苦しいオヤジだ。ノーに比べたら、イエスは何倍も簡単なんだ。だけどな、オレたちサラリーマンがイエスとしかいえなくなっちまったとき、仕事は無味乾燥なものになっちまうんだよ」

僕も昨年までサラリーマンをしていた。同族会社だったから、良く分かる。「君の意見は正しい。でも、この会社では通用しない。会社が黒だと言ったら、たとえ白でも黒なんだ。わかってくれ」当時の上司にそう言われた。わからなかったから、会社を辞めた。勇気がいった。でも、良かったと思う。自分の信念を曲げてまで、生きることに意味はない。

人生は変えられる。そこに覚悟さえあれば、必ず変えられる。僕はそれを信じているし、それを証明するために勇気を出した。でも、誰の目から見ても「あの時、辞めて正解だったよ」と言えるには、まだまだ結果を出さなければいけない。僕の倍返しの旅は続く。

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