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『友人の本棚~1分で読める感想文~』vol.9「幸福な生活」

「結局、幸せのカタチなんて、人それぞれだよね」
世間で行われる幸せ談義の着地点は、決まってここに落ち着く。にも関わらず、2020年の今この瞬間も「幸せとは何か?」についての議論がやむ気配がない。もはや「幸せとは何か?」について話すことこそが幸せなのではないか。そんな話を友人にしたら、この本を手渡された。

全19本に分けられたショートショートの「最後の1行」は、どれも「ぞっと」するもので、読めば読むほど次を読みたくなる。正直「悔しい」という気持ちが先にきたのは、「こんな驚きを文章で伝えたい」と僕自身も思っているからなのかもしれない。

巻末の最後にある宮藤官九郎さんの解説から引用したい。

こういう優れた短編を読むと思い出すのが、志村けんさんの名言です。
「10分のコントは10分の物語ではなく、登場人物の人生の中で最も面白い10分を切り取ったものなんだよ、竜ちゃん」的な。

その昔、僕はTVの総集編が好きで、それは何故だろうと考えたことがあったのだけれど、あれは「焼き直し」ではなく「最も面白い部分だけを集めたもの」だからなんだと納得したことがあったことを、この一文を見て思い出した。

濃縮されたものには、うまみが詰まっている。僕の「1分感想文」も、読むのは1分だけれど書くのは最低でも1時間はかかる。本を読む時間を入れればもっとだ。それでも「美味しいところだけ」を味わってもらいたいという気持ちにこそ、プロの魂が宿るのだと思えば、今後も「最も響いたところ」だけを抽出して残したいと思った。

そしてこれもきっと、僕なりの幸せのカタチだ。

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