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『友人の本棚~1分で読める感想文~』Vol.85「みんなの意見」は案外正しい

多数決でものごとを決めるのはよろしくない。そう思っていた。けれど、みんなの意見は案外正しいとなると、話は変わってくる。じゃあどっちよ? と。今日はその答えに決着をつけたい。

グーグルが何十億というウェブページから、探しているページをピンポイントで発見できるのも、正確な選挙結果の予測ができるのも、株式市場が機能するのも、すべて「みんなの意見」つまり「集団の知恵」のたまものである。多様な集団が到達する結論は、一人の専門家の意見よりもつねに優るという説を提示し、ウェブ時代の新しいパラダイムを予見。多くの識者に引用・推薦される書。

一九六八年、社会心理学者のスタンレー・ミルグラム、レオナルド・ビックマン、ローレンス・バーコウィッツはちょっとしたいらずらを思いついた。まず一人の男性を街角に立たせ、何もない空を六○秒ほど眺めてもらった。彼が何を眺めているのか、好奇心から足を止めた人はわずかだった。次に、五人の男性を街角に立たせた。今度は前より四倍の人数の通行人が何もない空を見上げた。十五人の男性が街角に立ったたときは通行人の四五パーセントが足を止めた。空を眺める人の数が増えるにつれ、通行人の八○パーセント以上が空を見上げるまでになった。
(中略)
人々が空を見上げるのは仲間からのプレッシャーや叱られる恐れを感じたからではないので、同調とは言えない。何にもないのにそんなにたくさんの人が空を見上げることはないだろうと思うから、人々は空を見上げる。集団に加わる人が一人増えるということは、それだけ重要な何かが起きている証拠である。だからこそ集団が大きくなればなるほど影響力が増す。
-第3章 ひと真似は近道より-

なるほど。大多数の意見や行動には、それだけの説得力を感じてしまうからこそ、よほど強い信念がないとそちらに流れるのか。そしてその意見は多くの場合正しいとなると、いよいよ「みんなの意見」を取り入れる方が良い、つまり多数決で決める方が良いのではないかと思えてくる。

多数決で決めるのが悪いという意見は、その答えが間違っていた時に誰も責任を取ろうとしない、他責になりがちだからだ。逆に言えば、多数決で決めた意見だとしても、最終的には全責任を私が持つというリーダーさえいればいい。多数決で決めるにせよ、みんなの意見で決めるにせよ、最終的な意思決定の責任をリーダーが取る。そう言えばいいのだ。それくらい、自分の意見をもって集団に立ち向かえる情熱と根拠を持てるよう、僕も力をつけていきたいと思った。

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