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流通業の洗礼

MNHの小澤です。
醤油かりんとうで弾みがついたぼくらは、いろんなコラボレーション企画で商品開発をすすめていた。

そんななか、多摩信用金庫との間で、「多摩のお土産」を作ろうという企画が持ち上がる。
東京多摩国体の開催が決まり、それにあわせて地域を盛りあげるための商品企画だ(*)。

この時、ぼくらの「コラボ商品」が、そのお土産にいいんじゃないか、という話になった。そこらの単体のクッキーなどよりも、コラボに至るまでのストーリーがあり、話題性もあるからだ。

こうして、ぼくらのコラボ商品群を「東京アベック」というネーミングで売り出すことになった。

で、この “アベック”という名前 。
昭和に流行った言葉ゆえ、知らない人も多いと思うが、アベックとは “男女のカップル”のこと。2つのものを組み合わせるという意味に引っかけたのだ。


まずどこで売ろうかと考えたときに、多摩信さんが声をかけたところ、手をあげてくれたのが  ある 多摩地域発祥のスーパーマーケットだ。

そして、多摩信さんとこのスーパー上層部とのミーティングで、地域貢献をするために、MNHの地元産の開発商品を店頭で販促していく、という趣旨で合意したのだ。


この時、ぼくらは結構びびっていた。

かりんとうなどの物産品しか扱ったことがないぼくらは、スーパーマーケットとの取引はもちろん、流通業界のことは全く知らなかった。

まず知ったのが、スーパーは直接取引ができないこと。
多摩信さんから、スーパー”I” さん付きの「問屋」を紹介され、いわれるがままに商談に出向いた。

そして商談当日。受付で「おまちください」といわれて、待つぼくら。

……が、一向に呼ばれずに30分が経つ。

「いったいなんだ? 時間を間違えたのだろうか?」

不安になり、確認もした。
結局延々、1時間ほど待っただろうか…


あとで知ったことだが、問屋は待たせるのが当たり前ということだ。

流通業界は下流がめっぽう強い。顧客に直接商品を売ってくれる立場だからだ。下流とは、ここでいえばこのスーパー。

その商品棚の陳列は、実は裏で問屋がせっせとこさえることも多い。スーパーの新店オープンや改装ともなれば、問屋が駆けつけて手伝う。

日常でも、そんな王様であるスーパーのバイヤー様からの電話がかかってくれば、お付きの問屋はそちらの対応を最優先する。ぼくら平民は、当然後回し。

よってぼくらがアポイントを取る意味は、実質ないに等しい。

そしてこれがこの業界の普通だった。

(*)東京多摩国体:多摩で行われる国民体育大会。2013年に54年ぶりに東京で国民体育大会が開催されることになり、特に多摩地域と伊豆・小笠原諸島を中心に競技が行われることから、「東京多摩国体」とも呼ばれた。


当時、東京都と多摩信用金庫の価値創造事業部とが多摩国体に向けた商品事業を検討していた。MNHに話がきたのはこの流れである。


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