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観光業のジレンマ

MNHの小澤です。

MNHでは早くから観光業に目をつけていた。

そもそも地域活性化の手段は、大まかにいって2つしかない。
1つは地域のものを外で売ること。もう1つは外から人を連れてくること。

前者はすでにみんながやっている王道だ。地域のものを何度も何度もブランディングしては都会で売るといった手法は、もう飽和状態ともいえるほどだ。

しかし後者はまだ開拓の余地がある。「やっぱり観光しかない!」と思い立った。
すでに庄内町で事業をはじめていたぼくらは、庄内に人を呼ぶような企画を漠然と考えてもいた。そして本腰を入れようと動き出した。
2014年に入った頃だった。

…はじめに言っておくと、観光業をやるのには「ジレンマ」の連続だった。
つまりやりたいことと法律・制度との戦いだ。

まず当時のぼくらがなにかツアーを企画するとしよう。
そこに足代・宿代をインクルードすると、法律違反になる。
「観光業の免許」が必要だからだ。

免許取得は大変だよなぁ…と思っている矢先に、当時流行っていた「着地型観光」というものに目をつけた。

「着地型観光」は「グリーンツーリズム」ともいわれる。
簡単にいうと、現地に集合し、古民家で郷土料理を食べたり、釣り船にのって漁業を体験したりと、通常の旅行プランにないような体験ができる旅行企画だ。「これはいい!」と考え、進めようとするのだが、これもじきに壁にぶち当たる。

例えば他社のグリーンツーリズムを調べていくと「秋田駅に朝9時集合」というツアーなどが目についた。内容はさておき、朝9時に都会の人が現地に行く術は(前泊をのぞいて)ないはずだ。そんな不可解なものを目にし、足(交通)が含まれていないツアーは、利用者にとって結構めんどうなものだと分ってきた。

また、MNHにゆかりのある「庄内町」を例にとっても、グリーンツーリズムは厳しいと思った。庄内町までは往復2万程で行けるが、このご時世、同じ金額で沖縄やグアムといったもっと魅力的な観光地に行ける格安ツアーがたくさんある。そんな選び放題な状況でわざわざ庄内町などに行く東京人がいるだろうか?

つまり、着地型観光を企画しようにも、まずそこまで来てくれるという「前提」がないと、成り立たないと悟った。

さらに旅行業での利益に絞って考えてみると、一番は「足代」だと分ってきた。それを抜きに現地でどんなに企画しようにも、儲けがでない。
……とめぐり巡って「やはり観光業の免許を取るしかない」という判断にいきついたのであった。



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