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東京は若者を奪っちゃう?

MNHの小澤です。

翌日、早朝。
ぼくは、庄内町でたちあげる法人の登記をするために、山形市まで2時間もかけて向かうことになった。山形の風景を眺めながらの電車の中で、ぼくは昨晩の副町長の話を思いだしていた。

副町長は「東京はお金を奪っていってしまう」と、嫌味まじりにこう話した。


ーーーここで育った若者たちは、高校を卒業すると、だいたいが出て行ってしまう。ここでお金をかけて大切に育てたとしても、彼らが税金を納める年頃になると、東京で就職してもう戻ってこない。裏をかえせば、人材を育てる18年間の費用は地方都市が負担して、成人になったら東京にお金を落とすのだ ーーー

ぼくはそれを聞いて、「なるほど、その通りだ」と思った。
この構造を変えないと、地方がどんどん衰退することにつながってしまう。

では、彼らはなぜ戻ってこないのか?
まず、地方の就職人気ランキングの上位は、安定した高給取りという理由から、「役所」「金融機関」「JA」などだ。しかしそれらは本来、地域が潤ってこそ真価を発揮するものであろう。

一方その“潤い”、つまり地域活性化のために、地元の若者が起業をしようとしても、彼らにはノウハウがない。日本の教育では、商売のやりかたなどは教えてもらえないからだ。給料も保証されないし、地縁血縁の多い地元では失敗もしづらい。かといって、既存の事業会社で働こうにも、東京と比べると給料が圧倒的に安い。

そういった複合要因から、「歯を食いしばってでも地方で食べていきたい」という若者がでにくい状況になっているのだと思う。

MNHは、これに微力ながら、風穴を開けたいと思った。

地方でなにか事業をしたい若者に向け、器(会社)を提供する。そこで一緒になにか志せば、起業を肌で感じ取れるし、事業が上手くいけば独立をしてもいい。そしてこれは、今回の話の発端の、六次化商品づくりにも寄与するだろう。
そんな想いから、その法人を作ることにしたのだ。

そして、ようやくたどり着いた山形市の法務局で、その社名をこう刻んでいた。

「東北に若者の雇用をつくる株式会社」

地域の若者の雇用を生み出したい。それをまんま、社名にしたのだった。
こうして2012年の3月。MMNのグループ会社として庄内町に設立した。

そしてこれは、MNHの地方における挑戦の第一歩だった。
同時に、これは茨の道でもあり、多くの学びと散財をするきっかけになったのだ。


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