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かりんとうが酸化してるんですけど!

MNHの小澤です。

「かりんとうに酸化臭があるんですけど…」

かりんとうを販売しはじめて3ヶ月。一本の電話が鳴った。

ぼくは最初何が起こっているのかが分からなかった。

「くさいって、どういうことだ?」
当時のぼくは、かりんとうの品質はおろか、食品の一般的な知識さえない。
きつねにつままれたような状態だった。


取り急ぎ中谷製菓に報告するも、そんなことはないだろう?との返答。会長に伝言すると、「実際に何か起こってるんだから、すぐにきちんと調査しないと次はないぞ!」と叱咤された。

ぼくは焦った。

翌土曜日に回収した現物を中谷製菓に持ち込んだ。検査をすると、そのかりんとうは賞味期限内にも関わらず“酸化”していた。

油で揚げたかりんとうに含まれる油は、時間とともに酸化していく。油は酸化すると変色や異臭の原因となるのだということを、中谷製菓から聞いてはじめて知った。 
MNHは当時、黒糖・ごま・ゆず・塩の4種の味のかりんとうをつくっていた。そのなかでも塩味が酸化の進みが速いことも、はじめて知った。そんなことすら知らず、商品企画を、そして人に販売をしていたのだ。

こんなのじゃいけない。
それから酸化のメカニズムを猛勉強した。

知らないことばかりで、何から手をつけてよいかも分からなかった。まずは中谷製菓の現場に張りついて根掘り葉掘り聞いた。本やインターネットからも情報をかき集めた。

一方、当時扱っていたかりんとうの賞味期限は30日だったが、ぼくらが単価設定をする際にその期限の短さは課題にあがっていた。

そういう問題も含めて、ぼくらは品質確保に向けて地道に研究しつづけた。
その後もクレームはたびたび起こった。そのたびに対応し、学び、また対応して、そこから学ぶ。その繰り返しだった。

そのなかで、かりんとうの包材を、日持ちする材質に変更もした。やがて恒温庫を使って酸化度合いをチェックし、品質のエビデンスをとることもできるようになった。そして課題であった短い賞味期限も延長できるようになった。

こうして数えきれないほどのクレームを受けてノウハウをため、「食品衛生上うちのかりんとうの品質は万全だ」と言えるまでには、その後、実に6年ほどかかったのである。


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