4月に読んだ本
待ちに待った巻。発売日に本屋へ駆け込んで買ってすぐに読み終えた。
あらすじにある、この言葉が印象に残った。
特に石井さんの第一章『幼ものがたり』は幼少期の思い出について書かれていて、一つ一つは短いけども読み進めていくうちに大きな物語を読み終えたような、そんな気持ちになる。
高峰さんも同様で、第一章の『わたしの渡世日記』にある、「父・東海林太郎」「母三人・父三人」「ふたつの別れ」は続けて読むと壮大だ。
石井さんは「生きているということ」、高峰さんは「住所録」が好きだった。
ウワサに聞いてたけど、いやぁ富士日記が面白い。面白すぎる。日記であることを忘れてしまう。
確かに武田さんの文章は読んでいて飽きない。いつ読んでも何度読んでも、まったく飽きない。選者である川上さんも抄出するの大変だったと思う。
その面白さってなんだろ?と考えたとき浮かんだのが、素直な、あっけらかんとしたパワーのある文章だからじゃないか?ということ。
「素直」といったら、高峰秀子さんにも近しい部分はあるけど、高峰さんの場合は「さっぱり」とした文章なんだよな。
武田さんの場合、「あっけらかん」という言葉がしっくりくる。自然体な言葉が多い。
武田さんの持つパワーに引き寄せられて人が集まる。そして彼女から見た人々の姿が面白い。
「富士日記」をはじめ、「ことばの食卓」「遊覧日記」「日日雑記」、そして単行本未収録エッセイも載っている。
……贅沢すぎませんか?
改めて再読中。何度でも読みたくなる本。
短編集。タイトルの「TVピープル」は読み終えた後しばらく“縮尺”という言葉が出て頭から離れなかった。
村上さんの作品って主人公が男性のものが多い印象だったけど、今回は女性が主人公のものもいくつかあった。「加納クレタ」「ゾンビ」「眠り」とか。
この中だと、「飛行機ーあるいは彼はいかにして詩を読むようにひとりごとを言ったか」が好きだなぁ。4月に読みたくなる話。
「カンガルー日和」に載ってる「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」とか、まさに今の季節に読みたくなる。
逆に読み終えてゾッとしたのは「ゾンビ」
最後のところが特に。見えない心の中を覗き見したような、そんな気分になる。
昔よりだいぶ読めるようになったけど、まだ長編は読み切る自信がない。
村上さんの小説って、晴れた日にゆっくり読むのがちょうどいい気がしてきた。
めっちゃポジティブ!イェーイ!みたいな話じゃないので(逆にどんな話だ、それ)、あの空気感を夜寝る前に読むのは私には合ってないかなと思う。逆に眠れなそうで怖い。
また他の短編集読み返そうかな。「レキシントンの幽霊」とかまだ1回読んだっきりだもんな。
本読み終えて、また違う本が読みたくなるの、自分でも不思議に思う。
何冊も読んでいるのに、毎回新鮮な気持ちで読める。そして面白い、ページをめくる手が止まらない。
飾らないところ、さっぱりとしたところ、そして人への思いやり、相手の負担にならないようにという配慮。
「骨と皮」「小さな棘」「午前十時三十分」「ただ今自分と出会い中」が好きだったな。
去年目に入ったのを買って、そのまま寝かせてた本。
北村さんだから面白いのは間違いない、けど小説でまあまあ分厚いんだよな……と避けていた。
3月から4月にかけて色々と仕事でモヤモヤしまくり、眠れない、食欲ない、あんまし元気でない、という状況で。
あまりにも辛すぎたので、一度頭の中を空っぽにして何も考えずに過ごしたい……と積読の山から見つけた。
気がついたら1時間くらいで半分ほど読んでいた。すごく頭の中がすっきりして、その日はぐっすり眠れた気がする。
ワーキングガール、都と自分が重なって、職種は全然違うけど、都として東京の街中を歩いているようなそんな感覚になった。
北村さんの何が面白いって、言葉の使い方、遊び方が落語っぽいところ。洒落が効いているといえばいいのか、そこが面白い。
また人の心境を細かく描いている、普段表には出さないだろう闇とか、そういうのを描いているところも好き。
人間の弱さと強さを書いているんだよな。
心身やばそうなとき、逃げ場所としての本。エッセイではなく小説の方が集中して没入できるから良いな……とこの1冊で気づいた。
大野さんの版画で描かれた猫たち。ブックキャットの絵も好き。
これ読んで「遠い唇」新補版に載っている2作を読むと、また良い……そのつながりが知りたくて「飲めば都」を買ったところはある。
これは2019年に出版された「遠い唇」に「振り仰ぐ観音図」「わらいかわせみに話すなよ」、そして北村さんによる自作解説がプラスされたもの。
しかも新たに収録された2作は「飲めば都」のキャラ達が出てくる話なんです……!
「飲めば都」未読でも面白いけど、やっぱ知っている後に読むとまた良い。いやぁ最高な流れだったな。
2019年verも良いです。
益田ミリさんの本は、パラパラめくっていく中で時々ハッと心に残る言葉があって。生きていく中での気づいた言葉が多くて、それがすごく好きで。
大きな変化はないかもしれないけど、それでも日々何かしら変わっている。忙しいと見逃してしまうけど、この本みたいにふと立ち止まって見てみるのも良いよな……
このシリーズはどれも装丁が可愛い。本棚に並べるのが楽しみ。