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「魅惑 3rd batch (ゐのすビール)」ブルワーズノート

こんにちは。
このnoteは、ゐのすビールの新作「魅惑 3rd batch」のブルワーズノートです。

ゐのすビールでは普段、新作を出すたびにインスタグラムの投稿に簡潔なブルワーズノートを載せていますが、Far Yeast Brewingのブルワーの富田さんに、もう少し詳しく書いたものが読みたい!と言っていただいたので、今回はいつもよりちょっと細かく書いてみました。
やや長文ですが、読んでいただけると嬉しいです。

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はじめに:このビールは酸っぱいので、日頃から酸っぱいビールを飲んでいる人でないと酸っぱさが強く印象に残るかもしれません。しかし、主役はコーヒーです。そのことを意識すると、スペシャルティコーヒーの魅惑を堪能できると思います。

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ゐのすビールと蜃気楼コーヒーのコラボビール。コーヒーの苦味ではなく甘さやフルーティーさをフィーチャーした甘味・酸味・苦味の調和を探る魅惑シリーズの第3弾はSour IPAというスタイルです。フィリーサワーという酵母を用いて、アルコールと同時に酸っぱい乳酸を発生させる発酵を行なっています。
コーヒーはケニア・Maguta EstateのCMN(Carbonic Maceration Natural) JASPER。Carbonic Macerationは2015年頃に提唱されたコーヒー豆の新しい発酵方法で、もともとボジョレーヌーボーなどのワインで使用されていた嫌気性発酵の技法をコーヒーに応用したもの。コーヒーが本来持つ、果実のような甘さや香りが強く感じられます。甘味・酸味・苦味の調和に加えて、アルコール発酵・乳酸発酵・嫌気発酵という発酵の調和もテーマとして浮上してきました。
相変わらず情報量が多いですね。気になる方は調べてみてください。そうでない方は気にせず飲みましょう。

グラスに顔を寄せると、鼻からふわっとコーヒーの香り。ザクロや赤いベリー系のフルーティーさだけど、ほのかにロースティなのでコーヒーだと分かります。
液体は明るく澄んだ黄色。ミルキーさに寄与するラクトースが入っているが、そこまで存在感はありません。
一口飲むと目が覚めるようなレモン、でもコーヒーのベリー感とラクトースのミルキーが棘を優しくマスクします。口をすぼめたくなるような酢酸系の酸味ではなく、乳酸のスキッと通りつつ豊かな酸味。
酸味は鋭いですが、減衰が早く、口内にとどまります。喉奥へ液体を飲み込むときには残らず、穏やかなのどごしでクリア。酸っぱいビールに慣れていない人でも気持ちよく飲める、キレ良く爽やかな酸味。
ところが、ごくっと飲み込んでからゆっくりと息を吐くと、奥の方からじわーっとコーヒーが返ってくる。一度クリアな酸味を挟むことで、コーヒーのフルーティーさをくっきりと感じ取ることができます。再び自分の内に充満する赤いベリーを感じながら、このビールの主役は酸味ではなくコーヒーだと思い出すでしょう。
歯切れ良いボディの上と下に、甘美な誘惑のようなコーヒーの雲が流れる。コーヒーよりもストレートにコーヒーを感じられる媒体、は言い過ぎかもしれませんが、コーヒーの魅力を存分に感じられるビールになりました。

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魅惑 3rd batchは好評販売中です。お気軽にお買い求めください。
EC: https://yinosbeer.official.ec/items/85942898
業務用: ゐのすビールのInstagramあるいはXにDM、あるいは yinos.beer [@] gmail.com までご連絡ください。

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