見出し画像

サンディエゴは良い田舎

サンディエゴサンディエゴはカリフォルニア最南端、メキシコ国境の街。ビーチがきれいで、スローなライフスタイルで知られている。日本で例えるなら沖縄に近いかもしれない。クラフトビールが有名で、日本でも有名なブルワリーをいくつも輩出している。
自分が主たる収入を得ている仕事の米国オフィスがありサンディエゴにあり、現地社員の友人が何人かいる。またたまたま同じタイミングで、ビール好きの後輩が東京から長期出張で来ていたので、週末にみんなでビールを飲みに行った。

Pure Project

Pure Project

Antenna Americaという輸入業者が取り扱いしており、日本でも一部飲める。
フライトでHazy IPAを4種類飲んだ。Pure Projectでは、ヘイジーのことをMurkyと呼んでいる。Murkyというのはブルワーの名前。アメリカでは「ヘイジー」というジャンルのブランド魅力度が落ちており、代わりに各ブルワリーの呼び方をすることが増えているらしい。個人的にはビアスタイルは飲むビールを選ぶために付けているので、シンプルにスタイルを示した方が良いのではないかと思っている。

左からDIAMOND DUST, TALES FROM THE DEEP, MYSTERY VEILS THE DESERT, RIVER QUEEN

DIAMOND DUST
MosaicとCashmereのヘイジー。Cashmereのミルキーでスムースな舌触りが気持ち良い。

TALES FROM THE DEEP
モザイクとシトラという王道の組み合わせ。モザイクはベリーやトロピカル、シトラはレモンやグレフルと表現されるが、きれいにブレンドされた際にオレンジになる。オレンジをがぶっと齧ったような、果実感が溢れるビールだった。

MYSTERY VEILS THE DESERT
Nelson Sauvin、Wai-iti、Mosaicのヘイジー。ネルソンの白葡萄のような、控えめなフルーツ感とドライさがきれい。

RIVER QUEEN
CitraとMotueka。Motuekaの、メロンの実と皮の境目で感じる瓜感。瓜だけど青臭くなりすぎない、ギリギリの美味しいところに擬態している。

全てのヘイジーに共通することとして、一般にホップをたくさん入れると、ダンクな草っぽさが出たり、飲んだ後に喉がピリピリとするホップバーンが残ったりする。それがPure Projectのヘイジー、いやMurkyには全く無かった。とろっとしたボディの上で、ホップがフルーティとしてのみ表現されている。各ビールに使うホップの種類は2-3種類までと少ないけど、そのホップの特徴を丁寧に、でもクリアにビールに写す。
気取ることなく、説明的になることもなく、高い技術力でホップの美しいところのみを感じるビールを作っているブルワリーはかっこいいと思う。

SEEK BEER Co.

Pure Projectから歩いて5分。この一角にはブルワリーが3軒並んでいる。
自宅のガレージと、自前のタップルームの間、新興ブルワリーのチャレンジの場として機能しているらしい。売れるとより大きい立地に移転していくので、同じ場所でブルワリーの移り変わりが早い。

テラスは3軒でシェア

Empowered Endeavors
シトラとモザイクの王道West Coast IPA。シトラとモザイクという組み合わせは日本だと普通すぎるとして避けられる傾向にあるように思う。アメリカではわりとどのブルワリーでも作っている。美味しいものは素直に作った方が良いと思う。

Goal Brewery

並びの2軒目。

Ube Haze
シトラとウベという芋のヘイジー。見た目の通りめっちゃイモ!
ヘイジーと言いつつ、イモのデンプン由来か、とろみが強く、スムージーに近く感じた。芋系の副原料のビールは珍しい。面白いし美味しい、とても良い試みだと思った。

宇部ではない

Goalでイモビールを飲んでいる時に同僚の一人が、今日は天気が良いからビーチに行こうよ!と言い出し、みんなで海へ行った。車で10分くらい、すぐにビーチに着いた。マットを敷き、パラソルを立てる。何をするわけでもなく無いけど、ビールを飲んだり、犬と遊んだり、夕陽を眺めたりした。サンディエゴの人たちは、何もしないことが上手いと思う。ビールを飲むことも彼らにとって、何もしないことなのかもしれない。

Abnormal Beer Co.

Hazy Creams
前日にTrader Joesで買った缶ビール。ビールクズ以外も行くようなスーパーで、4缶$20もしないような値段で美味しいクラフトビールが売られている。羨ましいなといつも思う。
ホップバーンが少なく、ごくごく飲めるヘイジー。わざわざグラスに移すこともない。缶から飲み、砂浜に刺しておく。ちびちび飲んでいたが、気付いたら同僚が勝手に飲み干してしまっていた。

クラフトビールにハマると、ビールはグラスに注がないなんてありえない!という気持ちになる。でも缶からそのまま飲む風情もあるよね。


Stone Brewing

広い

翌日、Stoneのタップルームに行った。サンディエゴを代表するブルワリーの一つ。市内にいくつもタップルームがあり、どれも巨大。この規模になるとビールクズ向けではなく一般に向けたレストランチェーンとして機能しており、いかにクラフトビールがサンディエガンの暮らしに根付いているかが分かる。この日はタップルームの庭で結婚式があるとのことだった。Stoneで結婚式を挙げられるとは!
IPA setというフライトを頼んだ。

3人で10液種。もう覚えていない。

Stone Pale Ale - San Diego Style
Stone Buenaveza Salt & Lime Lager
Fear.Movie.Lions Hazy Double IPA
Stone Dayfall Belgian White


最終夜も同僚たちと一緒にビールを飲みに出た。夕方まで会社にいたので、会社の近くのブルワリーに絞った。サンディエゴでは平日はどの店も21時ごろに閉まってしまうので、退勤後にダウンタウンまで出向くことはあまりない。

Abnormal Beer Co.

ビーチで缶で飲んだAbnormalの、直営店に行った。ごはんが美味しく、ブラッセルスプラウト(芽キャベツ)が今まで食べた中で一番好きだった。

4種のフライトを飲んだ。

Boss Pour
Major Pour
Hazy Dreams
Key Lime Pie

Key Lime Pieはキーライム、バニラ、シナモンのベルリナーヴァイセ。ライムの棘をシナモンが優しく包んでドリンカブルにまとめており、酸味と甘みのバランスがとても良かった。参考にしたい組み合わせ。

Karl Strauss Brewing Company

サンディエゴで最も古いブルワリーの一つ。それでも1989年創業なので、クラフトビール業界の歴史の浅さが伺える。ここもアンテナアメリカが日本へ輸入している。
ここも6種類のフライトを頼んだ。

San Diego IPA
左上は定番のIPA。WC IPAより軽く、ホッピーだけどホップの組み合わせの主張が強くない。確かに、サンディエゴの砂浜で飲みたいビールだと思う。


Stone Brewing San Diego Int'l Airport

サンディエゴを離れる際、空港にStoneのタップルームがあっておいしいビールを飲めるので、街を離れる寂しさが少し和らぐ。やはりStoneはサンディエゴの心なのだと思う。

Stone San Diego Pale Ale
サンディエゴの名を冠したペールエール。ホップはあくまで華やかさやフルーティーを潜め、ほのかに苦い。一口飲むと心が整う、しっぽりとした良いビール。

美しい

Enjoy by 10.31.23
Stoneと言えばこれ。Enjoy by ~(~までに飲んでください)と賞味期限が約6週間(今回だと2023年10月31日まで)に定められている新鮮なIPA。日本でも飲めるけど、現場で飲んだ方がより新鮮だとは思う。WC IPAの古豪らしく、しっかり苦いホップと9.7%の重いアルコールがガツンと効く。

飛行機に持っていけるプラカップで。

サンディエゴは良くも悪くも田舎。そういう街でヘビーでパワフルなビールを実直に作り続けているのはとても大事で、愛すべきことだと思う。また帰ってくるね、と心の中で呟いて帰国の便に乗った。

Enjoy byと、サンディエゴ名物・フィッシュタコスと一緒に


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?