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朝ドラヒロインに共感を求めすぎてしまう ―『虎に翼』第14週「女房百日 馬二十日?」 (69)

NHK 連続テレビ小説『虎に翼』。今年の4月にはじまった朝ドラ。

毎朝15分、毎話おもしろい。4月にはじまってから、毎日おもしろい。初回から、今日まで、毎日おもしろい。(すごい!)

そして主題歌が何万回聴いても好き……


今日の寅子の怒りって、分かりました??


今日は、寅子を法律の世界に導いた恩師である、穂高先生の退任記念祝賀会。そこで寅子は、先生がスピーチで語った内容に納得できず、花束を渡すという役割を放棄し、その場から立ち去った。

その後、穂高先生に、自分が納得していないこと、感謝も尊敬もしているけれど、許さない!というようなことを強く伝えた。

……

びっくりした。置いて行かれた。わたしは正直、寅子が何を言っているのかよく分からなかったのだ。いや、言いたいことは分かるのだけど、あの場であの熱量で、なんの怒りを訴えたいのかがよく分からなくて困惑した。

わたしだけがこんなにも理解できていないのか??とXを見ると、同じように「寅子が分からない」というような感想を見つけた。よかった、戸惑っている人もいる。

はて。わたしは何をしたいのだろう。Xで同じ感想の人を見つけて、どうしたいのか。


朝ドラヒロインに共感を求めすぎてしまう


たぶん安心したいのだ。分かってないのは私だけじゃない、と知って安心したい。分からないよね~うんうん。って共感したいのだと思う。

でも、どうしてこのドラマを観て、共感したいと思うのだろう。

だってそもそも寅子って、そんな共感できる主人公ではなかったような気がする。当時の日本社会で生きる女性としてはめずらしい動きをしていたし、学生時代の振る舞いとか、結婚観とか、寅子はいつも、ぶっ飛んでいた。そしてそれを隠そうともしていなかった。決して、誰にでもあてはまる、共感できるヒロインではなかったように思う。

ここ最近、というか家庭に入るために法律の世界に一度背を向けたあたりから、なんだかちゃんとしようとしていて(いわゆるスンッとしていて)、ちょっといままでの朝ドラヒロインのような、どこか誰しも感情移入して共感できる主人公のような様子を見せていたから、共感を求めようとしてしまっていた。

朝ドラヒロイン=共感できる女性、という思い込みがあったのかもしれない。令和に生きててお恥ずかしい。

いやいや。そもそも寅子は何を考えているか分かるようで分からない、朝ドラらしからぬぶっ飛んだヒロインだったことを忘れていた。(寅子の心の声も基本はナレーションで語られるから、寅子自身の心の声は聞いたことがない気がする)

だから、寅子の言動が一発で腑に落ちなかったことに、共感できなかったことに、ショックを受けたのだと思う。勝手だけれど。


こんな議論される朝ドラ、すごい


寅子が分からない!とか、こういう意図があるんじゃないか?とか、たった15分なのにそのあと何時間もトレンドに入るほど視聴者に議論されるドラマって、しかもその議論の内容と熱量がこんなに高いドラマって、全然朝ドラらしくない。らしくないのに、朝ドラとして毎朝ずっとやってるのが、ずっとおもしろいのが、すごい。

にしても、今日の寅子の怒りの真意が完全に分からなかったのがくやしいな……わたしも考察とか議論できるくらい分かるようになりたいよ……と思ったけれど、まあ、分かんなくてもいいのかな。寅子だって、共感してほしくて生きてるわけじゃなさそうだし。


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