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一回死んでみた話

私は一度死んだ
いや、殺したと言ってもいいだろう

それまでは何不自由なく、自分は重い悩みなどなく
こうして楽しく、気ままに生きていけるのだと
軽い気持ちで生きていた高校3年間
田舎で生まれ、声が大きく、野球が好きな少年
小学2年生から高校卒業まで野球を続けた
とにかく野球漬けの毎日だった
そのため常識的なものもない
勉強も高校生までは苦手意識があったため
知識もない
周りに夢を追いかけるような人もいるわけでもなく
皆、地元に就職をし、家庭を持ち、死んでいく
私自身、芸人っていいな、俳優っていいな、YouTuberっていいな、そんな気持ちはあったが
そんな世界は遠くかけ離れていて
そんなものを目指すのは馬鹿馬鹿しいと
言われる世界だった
そして、高校卒業後、やってみたいことは
たくさんあったが
流れに身を任せ、地元に就職することにした

しかし、周りと違って
お金も欲しくない、車も欲しくない
家庭も欲しくない、服も欲しくない
稼いだお金も貯まる一方
心のモヤモヤも溜まっていく
心の中の幸せはどんどん薄れていく
目の前に座っている上司は
自分の未来の姿
仕事に対する熱意はとても尊敬できるものがあり
その姿勢は人間として目標とするものではあったが
だからといって
自分自身のなりたい自分ではなかった

悩んだ。悩み尽くした。

この人生を変えるには
この仕事ではない、この選択ではない
この場所ではない、このままでは

何をすればいいのか
何をすれば幸せだと感じるのか

目の前を覆う暗闇と、周りの声と
今までの常識と、全てが
自分を押し潰そうとしてくる

全力で悩んだ結果
その状況なりの自分の答えを出した
それが正解かは分からない
しかしできるだけなりたい自分に
近づけるだろう。そう願って答えを出した。

仕事を辞めることもとてつもなくエネルギーの
いることだ、まだ入って半年、
その会社には知り合いもたくさんいる
だがこのままでは死んだも同然だ
この人生では死んだように生きていくだけだ
そうして私は19歳の自分を殺した。

そうして今、新しい自分として
想像もしなかった世界で生きている
東京という地で
22歳だ。
これからたくさんの経験とともに
文字を残していきたい。

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