”食べる、休む、ゆるむ”のアーユルヴェーダコロナ治療体験@スリランカ
アーユルヴェーダにとってアーマ(毒素)を排出するというのは大事なプロセスだ。私にとってのアーマはコロナウイルス。後遺症が残って咳が止まらない。喉のところに「何かがいる」という感覚が回復後もずっと続いていた。これをなんとかやっつけなくては、と固く決心した。
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スリランカ南西海岸の町、ベルワラにあるアーユルヴェーダ専門ホテルに2週間滞在した時のお話。
1日目ドクターの問診を受けてから施術がはじまる。
朝8時から針治療、10時15分からトリートメントという具合に、一人ひとりのスケジュールが決まっている。
針治療はだいたい45分。少し薄暗い部屋の中にベッドが8台ほど並んでいる。横たわると、医師がツボに針を刺していく。日本でも鍼をやったことのある私は少し痛いと思った。
トリートメントの時間になると、担当のセラピストが迎えに来て、手を引いてそれぞれの個室まで案内してくれる。個室に入るとベッドが1台。その横には、なにかの薬草だろう、グツグツと鍋が沸いている。
まず頭頂部からオイルがたっぷりと揉み込まれた。そのまま後頭部のツボまで、指でゆっくりと押し込んでいく。オイルは髪にではなく、あくまで頭皮に塗っているのだ。
ヘッドが終わると次は首から下へ、それから仙骨の辺りまで、マッサージされる。リラックスしてイスから浮き上がってしまいそうだ。
座姿勢のマッサージが終わると、次は寝台の上に横たわる。いつのまにかセラピストがもう一人部屋に入っていた。二人同じ動きで、つま先から首まで、オイルが揉み込まれていく。四本の手によるマッサージは格別だ。
マッサージが終わると次はスチームバス。よもぎの葉を蒸したような臭いがする蒸気の木箱の中に顔をひたしていく。咳で弱った喉を潤すためだ。終わると肌がツルツルになる。
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薬もアーユルヴェーダには欠かせないものだ。オーダーメイドの薬が毎日午後3時にロッカーボックスの中に入っている。それを指定の時間に飲む。どれも例外なく苦い。特に苦味のある粉末の薬は、蜂蜜でスプーンで混ぜながらねりあげて飲む。
約2時間のトリートメントと1時間の針治療を除けば、特に決まったものはない。だからゆっくりと時間を過ごすことができる。海岸を歩いたり、読書したり、他のゲストたちとお茶をしたり。
ときにスペシャルマッサージとして、目の疲れをとるマッサージ、オイルバス、浣腸マッサージなどの施術を受ける。 これらはその人の体調に合わせて、綿密にスケジュールされる。
食事もアーユルヴェーダの大切な要素。ホテルのレストランには、家庭菜園で採れたオーガニックな野菜やフルーツを使った料理が専門のシェフによって振る舞われる。体調に合わせて食べて良いものいけないものが決まっていて、レストランに常駐するドクターにいつでもアドバイスを乞うことができる。
アーユルヴェーダの滞在目的は、ダイエットから持病の治療まで人によりけりだ。ドイツ人の男性は2週間の滞在で禁煙と4キロの減量ができたと満足げだ。彼の妻はコロナワクチンの影響による体調不良が消えたと力説する。
私自身は、コロナの後遺症であった喉の痛みや咳がなくなり、無事に陰性証明を得て、帰国することができた。1日3食とアーユルヴェーダ施術の費用は2週間でおよそ25万円ほど。これを高いとみるか、リーズナブルとみるか。
この数ヶ月は、コロナと後遺症のことばかり考えていた。気がつけば、コロナにかかってから、体力に自信がなくなり、やる気もかなり落ちていた。
インド洋のそばで2週間、アーユルヴェーダを体験し、これまでコロナに支配された状態だったんだ、と気がついた。
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