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ケニア人の彼と、日本人の私



22歳の秋、ケニアに一人でボランティアしに行った時の話



首都ナイロビに到着して、

「次は国際線に乗らなきゃ、間に合うかなあ」って焦って荷物をとってシムカードを買いにお店へ向かった

下調べしてた一番有名で大きなケニアの回線のお店がまさかの閉まってて

え!まさかじゃん、違うシム入れるしかない…と、行先がド田舎なだけに、回線繋がらなくてホストファミリーと連絡取れなかったらどうしようって焦ってた。

次の飛行機まで時間ないのと、隣のお店が閉まってただけに結構人がいてこれまた焦る。

とそんなとこに、アジア人の女の子が後ろから抜かしてきて

おいおい、時間ないのに…と余計焦らされたとき、シムカードを売るお兄さんが「ちょっと、抜かしてるよ」と声をかけてくれた


でも、揉めて遅れたりしたらこれまた嫌だな、と思い、そのお兄さんに

「大丈夫です」ってアイコンタクトだけ送った。

やっと私の番、後ろには誰ももう並んでなくて、シムカードのお兄さんは「さっきの、ごめんね。」って謝ってくれて(?)

いやこの人は何も悪くないし、と思いながら、やさしそうな人だなあって思ってた


でも、三大極悪都市って言われるくらいだから、めちゃくちゃビビってたの覚えてる。

油断禁物って心の中で唱えながらも、ナイロビもこんないい人いるんだ、って感心もしてた。





「ギガいくつのプランにする?」

「一か月後には買い足してね」

とかなんとか言われたけど、アフリカのアクセントで英語が全然わからず、何回も説明してくれたけどわかってない私に対して

「What‘sApp持ってる?自分の電話番号入れておくから、一カ月たったらここに連絡して」

と電話番号をくれたけど、


「うわ...やっちまった。知らない人に電話番号教えちまった。これでここからお金も盗まれる」

てまた焦りに焦りを重ねた


ケニアでは、日本でいうペイペイみたいに電子決済もめちゃ使うから、スマホの電話番号からどうにかハックされてお金盗まれるとこの時本気で思ってた。 


そしてナイロビからキスムという田舎に行くために「国内線に乗り換え」というミッションがまだ残ってる。

「初めてアフリカ来るの、今からまた今度は国内線乗り換えだし、乗り換えの場所わかんないし焦ってる」

「一人で初めてなんてすごいね!国際線のところまで荷物もって案内してあげるよ、終わるまで少し待ってくれる?」

こんな感じの会話を交わした。



* * *


ここから一カ月後、優しいと思ってた田舎のホストファミリーと問題勃発。



ボランティアは中断して、

揉めに揉めて、逃げ出すような形で田舎からナイロビに戻ってきた。

ナイロビは一人で外は歩かない方がいいくらい危険な場所。でも泊まるところも頼れる人もいない。



一か八かで彼に迎えに来てもらった。



最初は優しかったホストファミリーだったのに、上手くいかなかったことでメンタルはズタボロ。


もし同じようにこの人もダメだったら、私はほんとにおしまいだ


そう思ったまま、地方からナイロビ行きの飛行機に乗った



田舎からナイロビに向かう飛行機で撮った写真。
ボランティア先からは逃げれたけど、果たして彼がちゃんと来てくれるのか、信用していい人なのか分からなくて祈るしか無かった




* * *



シムカード変えるとき、コロナ対策でクリアなボードがあってなかなかうまく聞き取れなくて

「これがあるからね、うまく聞き取れないよね」

って言いながらそのクリアボードをドアノックするみたいにトントンしてた姿も、

「さっきはごめんね。」って悪くないのになぜが謝ってきたときの申し訳なさそうな表情も

「パスポートとこれ、元々中に入ってたシムカードね」ってパスポートにレシートと挟んで渡してくる姿も

「キスムに行くの?随分田舎だね、向こうではあんまり人信じすぎない方がいいよ」って笑ってた顔も、全部はっきり覚えてる










空港まで迎えに来てくれた彼は


前からずっと知ってたからのような、会ったことあるような雰囲気を纏ってて



彼を見つけた瞬間涙が出た






彼に会ったをのはこの時でまだ2回目、


あの空港での、SIMカードを替えてくれた時以来






* * *



想像もしてなかった、ケニア人と自然と始まった国際恋愛

今日で彼の彼女になって早9カ月

肌の色も、第一言語も、宗教も、住んでる国も違う私たちだけど、ここまで不安という不安はない。

あのとき、ほぼ全員に

どんな人かわからないのにしかもナイロビで会うのは危ないからやめた方が、

って言われながらも彼と会うことを選んだ自分の直感ったら


強盗やら何やらめちゃくちゃ危ない地域で、
本名も言えない、会って5分の挨拶程度の会話しか話したことない、
この人がやばいやつだったらほんとにもう行く当てない、

ホストファミリーと上手くいかなくて逃げる先にそんなところ選んだら

そりゃ誰だって「行くな」っていう

私が逆の立場でも言っただろうし、あほなのか!?とも言うかもしれない



経験からは、「そんな時にそんなところ行くな、また同じ目に遭うぞ」っていう思いがあったけど

直感では「大丈夫な気がする」が勝ってた









夜10時に帰るって言ったのに夜中の2時に帰ってきて、寝てる私に向かって「帰ってきたよーん」ってちょっかい出してくるし

ドア閉める音はうるさいし、

家揺れるんじゃないのってくらいの爆音で音楽流すけど


髪の毛染めただけで「見せてー!いいね!」って褒めてくれるし、

悲しくて泣いてれば黙ってハグしてくれて、チョコくれるし、

人が困ってたら、自分の用事なんて後回しで助けようとする


そんな素敵な人とまた会えるまで三か月。


素敵な出会いを忘れないように、とどめておきます。



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