医業収益の約2%を超える未収金は即適正化を!

皆さんの自院の未収金額は適正でしょうか?
未収金は、病床機能や規模・地域性関係なく、多くの病院で抱えている課題ではないかと推察できます。
本稿では、医療業界の未収金の実態に触れながら、未収金対策についてご紹介します。

少し古いデータですが、医療機関の未収金は平成17年に実施された四病院団体協議会の調査により、協議会に加入する病院の約3,270病院における累積未収金額が1年間で約219憶円、3年間で約426憶円になることが指摘されました。
公立病院の未収金は平均約1,322万円で民間病院の平均約249万円を大きく上回っていると報告されました。
これらのデータでも示されているように、多くの病院で未収金問題は経営上、切り離せない問題となっています。
とくに高齢化率の高い地域は経済的困窮者が比較的多く、未収金額が増加傾向なので、最終的に損金処理になるケースが多いです。
自院の未収金額が医業収益の2%を超える場合は、損金処理のリスクも上がるので、定期的な見直しが必要でしょう。

回収方法を見直す場合は、規模により選択肢が変わってきます。
中小病院ではコストもマンパワーも限られているので、自院スタッフの対応が中心になりますが、病床数が200床以上になると弁護士やサービサーを活用したり、外部業者を活用するケースが増えています。
規模関係なくコストをかけない方法としては、「未収金対策委員会」「未収金対策WG(ワーキンググループ)」などを発足し、多職種チームで定期的に未納者情報の共有や連携強化で未収金の回収に繋げる方法も有効です。

他にも、電話督促は一般的な回収方法ですが経験上、単発の未納者にしか効果が見込めません。
悪質未納者や長期未納者などは、意図的に電話に出ない為、電話督促業務が生産性のない「ムダ」な業務に終わってしまいます。
対策としては、未納者に4段階の督促状を郵送すると効率的な回収が可能になります。
この4段階の内訳は、1通目に案内ベース、2通目に督促ベース、3通目に法的措置の警告、4通目に面会希望の内容です。
この4段階の督促は、2通目までに完済するケースがほとんどです。長期未納者や悪質な未納者は、3通目の督促状で完済になるケースが多いです。
この4段階の督促は未納担当者の負担軽減、回収力アップに繋がりますので、是非お試しください。
もし、4段階の督促状を作成される場合は、無料で定型文の共有が可能なので、医療経営支援事務所のお問い合わせフォームよりお問い合わせください。

電話や文書督促以外にも患者の利便性向上目的でコンビニ支払いサービスを導入する医療機関が増えています。
メリットとしては、患者の利便性向上だけでなく、請求書に支払い期限の明記が可能なので支払い意識を高めることが可能です。
単発未納者や遠方、忙しいサラリーマンなどは、督促状とコンビニ支払い請求書を一緒に郵送することで、回収できるケースが多いので費用対効果が見込めます。

最近では、都市部で「医療費立替サービス」の導入も増えています。
医療費立替サービスは、第三者の企業が患者に代わって医療費の立替を行い、病院は債権を譲渡し、第三者の企業が患者に立替分を請求する仕組みなので、病院は未収発生防止や督促業務のコスト削減が可能になります。
ただ、第三者が回収業務を行う場合、無理な回収方法により病院のイメージダウンに繋がるリスクがあるので、事前に回収方法の確認は必須です。
医療費立替サービスは、悪質な未納者や経済的困窮者などを中心に活用すると費用対効果が期待できます。

未収金対策は、患者同士の公平性を保つことに加え、職員のモチベーション低下防止、利益率向上に繋がりますので、見直しを検討してみてはいかがでしょうか?
未収金でお悩みの場合は、医療経営支援事務所のお問い合わせフォームよりお問い合わせください。



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