予感

「目は合わないよ 見えないんだもん」

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夏の匂いがした。

隣の町がとても賑やかだった。キラキラしていた。車のライト、人々のスマホ、今日は花火大会だったらしい。

昨年 貴方と見た花火を思い出した。一度目は恋人になる前に、二度目は恋人になってから見たよね。貴方と見れるなら何でも良かった。でも、ずっと曖昧なふたりが嫌だった。

わたしの好きな花火が分かるらしい。それは、わたしの態度や表情から分かるのか。知らない。
わたしの好きだという感情が分かっていたらしい。それは、わたしが態度に出していたから。知っている。

同じものを共有すると ふたりの仲の溝が少しずつ充たされていく気持ちになる。特別 感想を交流したりはしない。だけど、見えない何かが埋めてくれる。同じ気持ちになったような気がする。ふたりが重なるような感覚になる。

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わたしはあなたと過ごす時間が好きだ。特別なことをしようとは思わない。ただ、そこにいてくれればいい。隣を、前を、後ろを、ただ近くに存在してくれればそれでいいのだ。

貴方と吸う同じ空気が、見る空が、歩く道が好きなのだ。

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今年の夏も彩り豊かになるような予感。きっと好みの色ばかりではないけれど、どんな思い出も大切に抱きしめたい。それは、二度と現れるものではないから。

よめない未来と心に抱えた不安を埋めてくれるような日々が積もっていきますように。

今年も貴方と花火を見れますように。