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意を決して

「目を見て言えないことを 書きました」

離れてしまう前、最後に会う約束をした。気が付けば3月に会える約束は0から6まで増えていた。初旬、このままお別れをするだろう と思って決断の準備をしていたことが既に懐かしい。下旬、あの時のわたしに言いたい。"意外"と"なんとかなる"かもしれない。

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東京へ行く貴方へ伝えたかったことは3つ。社会人1年目お疲れ様、いつもありがとう、これから一緒に頑張りたい。

実はわたしも4月から社会人の仲間入りをする訳だけど、かくかくしかじかで今年の夏に試験がある。それまでに どの土地で 誰と過ごすために 試験を受けるのか決断しなければならない。わたしは 貴方の近く で仕事がしたいと思っていた。遠回りしながら初めて伝えた。結論、ちがう土地で頑張ろう となったけれど。いつか 「来て」 という二文字がわたしをこの土地から連れ出してくれること、もしくは 「帰る」 と言って再びこの土地に足をつける日がやって来ること をほんの少しだけ、心の片隅で期待したいです。

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「何も考えてなかった」貴方へ、少し重たい想いだとは思います。変わるかどうかに期待しているのではなく、少しでも内側に届くかどうかを確かめています。わたしももう純粋無垢な子どもではありません。意を決してこの土地に居続けることを選ぼうとしています。

春は校門から見える満開の桜を、夏はプールサイドからの眩しい太陽を、秋には校庭の端に落ちているどんぐりを、冬には子どもと作った雪だるまを。

貴方が好きなこのまちの日常をわたしの生活と一緒に届けられたら、こんなにも嬉しいことはありません。そして、貴方が心身ともに健康で過ごす新しい 生活のニュース を時々教えてくだされば、めっちゃ嬉しい。し、"きっと"大丈夫。

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どうか春風、側に居てくれた日々ごと攫って行かないで。美味しかった喫茶店、綺麗だった夜景、貴方が住んでいたアパート、ふと見上げた空。わたしは思い出とともにふと涙を流したり 案外流さなかったりしながら、きっと帰り道を遠回りして再び足を踏み入れようとする。

あの席、あの場所、あの空間に 背の高い貴方の影はきっと煙草を咥えてわたしを待ちくたびれている。

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