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思えばあの頃

「あー 海へ逃げ出そう 明日のことは考えない」

貴方がわたしに初めてカメラを向けた日。

採用試験に追われていた日々を乗り越え、「海に行きたい」というわたしに天気アプリを確認しながら連れて行ってくれたあの日。お出かけは好きなのにお家に引きこもりがちなわたしたちの最初の遠出。わたしはこの頃もう好きだった。ただの先輩ではなかった。

2022夏の終わり。

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付き合って半年が経った。たった今。記念日なんて互いに気にしたことがなかった。嘘、わたしはずっと気にしていた。お祝いがしたいのではなく、お礼を伝えたい。「いつもありがとう。」

口下手で、不器用で、素直になれないわたしが唯一頑張れる日。記念日という名目に頼って自分の想いを伝える。(実はまだまともにできた試しがない)

記念日だから好きだと思う、会うから好きだと思う、一緒にいるから好きだと思う。

どれもちがう。

ずっと、好きです。

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会えない日々、忙しい日々、叱られ落ち込む日々、疲れて仮死する日々、辛い日々。ちょっとだけ、楽しい日々。いつでも、貴方からのメッセージが通知にあがるだけで 確かに存在するんだ と思える。貴方が、わたしが、生きている と思える。それでいい。今日も生きた、喜ばしいこと。きっと、明日も生きていればもっと嬉しい。

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貴方の姿が見えない今、貴方の残した足跡や影を追って生きている。教えてくれたビリヤードは友達と楽しんで、追って始めた煙草やお酒のおかげで夜更かしをして楽しんで、喫茶店で美味しいコーヒーを飲みながら。携帯のフォルダに残る優しいアコースティックギターの音や素敵なライブ写真、足を組んでベースを弾いている窓越しの貴方、守りたくなる寝顔。

案の定、寂しくて堪らない。毎日電話したいし、会いたいし、その大きな手で頬を撫でてほしい。ないものねだりをしてしまう。会いたい時に会いに行けた日々を恋しく思っては悔やんでしまう。もっとああすれば良かった、こうすれば良かった。

だけど、だけど。

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わたしは夢を叶える寸前にいる、貴方はやりたいことが目の前にある。まさに頑張り時、踏ん張り時。数少ない写真と数え切れないくらいの思い出と一緒に、もう少し頑張りたい。

いつもありがとう。ずっと好きです。頑張ろう。

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