136:「物」は「風景」の中の「物」でしかありえない?
目の《景体》は,物体と風景とのあいだ行き来しつつ,バルクとサーフェイスとのあいだも行き来する.というよりも,バルクを強く意識させて,「海の景色」を物体の集積を一つのサーフェイスとして捉えた景色のままではなく,バルクとサーフェイスからなる一つの物体にしてしまっている.ゆえに,それは物体であり,同時に,景色でもあるから,見る者の感覚に混乱を与えている.「海の景色」が物体となるために,展示室の空間に収まるように海はスパッと切断されている.目の前に広がる海の景色は,展示室を埋める