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ナミビアの算数の課題や現状。〜高学年編〜

ナミビアで算数の学力向上のためにやってきたわけですが、まずは現状把握をと思った1学期でした。主に1年生、時々他の学年の観察という形で過ごして、見えてきた現状や課題を整理し、残りの期間で自分ができることを再確認したいなと思います。

①棒を描いて計算


いわゆるカウンティング法と呼ばれるもの。
この子はどのように解いたかわかりますか?

36➗4をする時に、日本人なら九九が頭に入っているので、すぐに答えが9だと出てくると思います。しかし、この子は、まず36本の棒を書きました。そして4本ずつ丸で囲んでいきます。そして最後に丸の数を数えて、9だと答えを導き出したのです。
奇跡的に正解。数え間違いのせいでミスも多いし、時間もかかります

クラスの1部だけかと思いきや、ほとんどの子どもがこの方法で答えを導き出していました。驚き。日本なら2年生で暗記してしまう掛け算が、全く頭に入っていないのです。

割り算の筆算も同じ。掛け算、引き算のたびに棒を書くから、時間がすごくかかるし、割り算の流れも頭に入ってない様子。ちなみにうちの学校の割り算の流れはこれ。


②英語の壁

4年生のオブザーブに行った時の話。
この日は足し算・引き算の問題文の学習。左側には、注意事項的なものが書かれています。

授業が始まるや否や、先生はこの説明文を黒板にすらすらと書き始めました。
簡単に訳すと、
①与えられていることと尋ねられていることを確かめ、理解するために注意深く問題を読め。
②式を書け。
③答えを見積もれ。
④計算をしろ。
⑤自分の推定したものを使って、答えを確かめよ

こんな感じでしょうか。日本だと絶対に書かないなと思いながら見ていたけど、こっちは教科書もないし仕方ないのかなと。
必死に写す子どもたち。しかし、3年生までは現地語で受けていた授業からいきなり英語に変わった4年生。単語のまとまりどころか、1文字見て書いて1文字見て書いてしているので、とにかく時間がかかる。。。

先生はというと、書き終わったら座って携帯をいじっている。
少し教室がザワザワすると、一喝いれて静かにさせるの繰り返し。

すると、先生の携帯がなる。電話がかかってきた様子。
日本だと授業中に電話なんてかかってきても、基本気づかない、気づいても後でかけ直すけど、こっちの先生は必ず出る。教室の外に行ってしまいました。

案の定集中力が切れ、しゃべってしまう子もちらほら。
書き続けている子もいるけど、終わりがなかなか見えない。

多分40分の授業のうち35分くらい書く時間でした。

右は文章問題。
2010年に、政府は干ばつの助けを求める手紙を農家から597通受け取った。次の年、その数は168通減った。2011年に農家たちは何枚の手紙を書いたでしょう。

こういった問題でした。
残りの5分くらいは、先生が文章問題の説明。単語を1つ1つわかりやすく丁寧に説明。子どもたちに尋ねながら、違う言葉に言い換えさせて、文章を理解させていく。先生の問いに答えているのは数人でした。
英語がまず理解できていないこと実感。
だから先生も丁寧にやっているんだろうけど、算数の時間なのに計算は1つもせずに授業時間終了。

一応decreasedに線を引いて、引き算の問題だね。というところは確かめられて、また明日という流れでした。

③え、5ー1だよ?

授業が終わった後、自分で式を書いて計算しているこがいたので観察。
他の子は授業が終わったらすぐにノートしまっているのに、唯一式を書いて、別の紙で筆算をしている女の子。偉いなぁと思いながら見ていると、

 597
ー168

なので、まず繰り上がりでつまづくかと思いきや、10のくらいから1繰り下げるはできていました。17−8は案の定棒計算。次の8−6も案の定棒計算。
最後の5−1は流石にできるよね?!と思いながら見ていると、案の定棒を5本書いて1消して、残りの4を数える。。。

衝撃でした。進んで計算するくらいの子だから、算数が嫌いとか苦手ではない子なんだろうなと思って見ていたので、少し期待をしていた自分。

でもきっとこの子が悪いんじゃなくて、この方法で教えている環境に問題があるんだろうなと思いました。低学年から、この方法を教えられていたら、棒を書いたり指を使ったり癖がつくのは当たり前。

次の日からの低学年指導に力が入った、高学年のオブザーブでした。

長くなってしまったので、低学年編はまた別で。



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