見出し画像

私が「大勝ち」するまで。7

『満場一致で〇でした。』

3秒フリーズした後、携帯越しに思わず頭を下げていた。何度も。
人生で嬉しかった瞬間トップ3には入るのではないだろうか。
やっと、やっと人生の勝ち組になれる時がきた。
そう思って疑わなかった。
その時は。

4月に【就活不安定期】を、死に物狂いの自己分析と業界企業研究で乗り越えた私は、面接で無敵と化していた。
37個ESを書いて、面接に乗ったのは15個。
そのうち3月に落とされた例の企業が2個。
残りの13個は、4月末から5月にかけて面接があったものだが、私はその13個で、1回も落ちなかった。
本当に無敵だったと思う。信じられんが。
「37だして15かよ」
そう思う人は全然思ってくれていい。
なんなら私もそう思う。
本当に行きたかった企業は(最初の1社以外)1つもコケなかったことだけが、唯一の救いだ。
私の就活は【第二次就活順調期】に突入し、
そこで早々に決着がついた。

5月末、第一志望群のとある企業の最終面接の日。
午後に家族全員を追い出した家で、1人パソコンに向かった。
正直、こんなに緊張した面接は今までにない、というくらい緊張した。
若手のお笑い芸人が、爪痕を残そうと必死で地上波ゴールデンタイムに、体を張って頑張る、という光景を想像して欲しい。
もう、ほぼそれです。
何千分の何十まで勝ち上がってきた。
変化球のES、動画選考、何回もあった面接、
ここにきて落ちるわけにはいかない。
私はただでさえ、メールの通知に気付くのが遅くて、最終面接の予約が最終日の最後から何番目か、
という位置になってしまっていた。
きっともう決まってる奴もたくさんいるだろう。
残りの枠は少ないだろう。
だけど、なんとしても勝ちたかった。
必死になって喋った。今となっては多分喋りすぎだと思うくらい喋った。
そのくらい、爪痕を残したかった。
でも、自信はあまりなかった。

だからその日の夜、
知らない番号から電話がかかってきて、
「ぜひ、これから一緒にがんばりましょう。」
と言われた時には、心底驚いた。
「え、ほんとですか!?」を5回くらい聞いた。
それから何度も何度も携帯越しに頭を下げた。
その企業に決まったことを、親は泣いて喜んだ。
いつも忙しいはずの先輩はわざわざその時に電話をくれた。

『勝ったことのない人生を送ってきた。』
このシリーズの1話目の1番最初に私はそういった。

この瞬間、この電話を切ったその時に、
私はやっと
『勝った』
と思った。
私は、最初から書き続けてきた通り、CMで見ない日はないほどの『バカでか大企業』、めちゃくちゃ行きたかった企業に内々定を決めた。

今までの人生、大して誇れることもなく、なにかで1位になれることもなく、優れた容姿を持っているわけでもなく、教室を我が物顔で牛耳れたわけでもなく、サークルでありがちな恋愛ができるわけでもなく、お洒落なバイトができるわけでもなく、「やっぱりいつメン最高!」なんて日々とは遠い生活を送ってきたこの私が、

ついに、こいつらに勝った。

死ぬほど嬉しかった。
人生の勝者だった。
就活の勝組だった。

はずだった。
この日までは。確かにそう信じていた。

次回はいよいよ最後、というか「大勝ちしてから」のアフターストーリーです。
なんなら本当に私が言いたかったのは次回に書くことです。
ここまで読んでくださったみなさん、スキをしてくださったみなさん、ありがとうございます。
次回も良ければ読んでくださると嬉しいです。

#就活 #21卒 #22卒 #大学生


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?