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青柳晃洋、NPB史上5人目の2年連続「投手2冠」

青柳晃洋、「令和の大投手」襲名

阪神タイガースのエース、青柳晃洋が、「令和の大投手」の呼称に相応しい勲章を手に入れた。

9月27日、神宮球場での東京ヤクルトスワローズ戦に先発、6回を1失点(自責点1)に抑えて、リーグ単独トップとなる今季13勝目、防御率もリーグトップの2.05を維持した。
これで、2年連続でセ・リーグの「最多勝」「最優秀防御率」の「投手二冠」をほぼ手中にした。
さらに、「最高勝率」のタイトルも、セ・リーグでは資格者が青柳しかおらず(シーズン13勝以上)、2年連続で受賞している。

意外と難易度の高い「2年連続での投手タイトル」、2年連続「最多勝」は過去23度

青柳晃洋は13勝を挙げて、2年連続での「最多勝利投手」も手中にした。
勝利数リーグ2位の戸郷翔征(巨人)は12勝を挙げており、10月1日のDeNA戦で先発、勝利すれば、青柳と並んで同時タイトル受賞の可能性もあったが、13勝目を挙げることはできなかった(戸郷は154奪三振で自身初となる「最多奪三振」のタイトルを受賞)。
今季、パ・リーグで山本由伸(オリックス)が15勝を挙げ、青柳同様、2年連続で「最多勝」のタイトルを獲得しているが、複数年シーズンで続けて「最多勝利投手」のタイトルを獲得しているのは、一リーグ時代から数えても過去23人しかいない。
最長はヴィクトル・スタルヒン(巨人)の5シーズン連続(1937年秋~1940年)である。
複数年連続の最多勝を2回、達成しているのは、斎藤雅樹(巨人)だけである。

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さらに難易度の高い、複数年連続での「最優秀防御率」のタイトル受賞


さらに青柳晃洋は今季の防御率2.05で、セ・リーグで2年連続で「最優秀防御率投手」のタイトルを獲得した。
防御率リーグ2位で、青柳の同僚である西勇輝(阪神)は防御率2.25で、あと1試合に登板し、9回2/3を自責点0に抑えれば青柳を逆転するチャンスはあったが、登板はなかった。
今季、パ・リーグで山本由伸(オリックス)が防御率1.68をマークし、青柳同様、2年連続で「最優秀防御率」のタイトルを獲得しているが、青柳・山本以前に複数年シーズンで続けて「最優秀防御率投手」のタイトルを獲得しているのは、一リーグ時代から数えても過去15人しかいない。
とりわけ、3年連続となると、稲尾和久(西鉄ライオンズ)と菅野智之(巨人)の2人だけである。

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「最多勝」「最優秀防御率」のダブル受賞を2年連続は過去4人だけ

そうなると、「最多勝」と「最優秀防御率」のタイトルのダブル受賞を2年連続で続けた投手はさらに限られる。

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今季の青柳・山本以前となると、金田正一(国鉄スワローズ)、稲尾和久(西鉄ライオンズ)が1957年から1958年にかけて2年連続で「最多勝」「最優秀防御率」のタイトルをダブル受賞しているが、その後、斎藤雅樹、菅野智之(共に読売ジャイアンツ)の計4人の投手しか成し遂げていない。

「ミスター・サブマリン」こと阪急ブレーブスの山田久志は、投手として史上唯一、1976年から1978年まで3年連続でリーグMVPを達成しているが、その間、2年連続での「最多勝」も、2年連続での「最優秀防御率」のタイトルも獲得していない。

青柳が来季、狙うはNPB史上初の「3年連続『最多勝』と『最優秀防御率』」

気が早い話だが、来季、青柳晃洋と山本由伸の二人は、「3年連続の『最多勝』と『最優秀防御率』のダブル獲得」に挑戦する権利が与えられたことになる。
達成すれば、NPB史上初の快挙となる。

そもそも、セ・リーグで「最多勝」のタイトルを3年連続で獲得した投手はいない。
パ・リーグを含めても、2001年の松坂大輔(西武)以来の快挙となる。

かつ、「最優秀防御率」のタイトルも3年連続での受賞となれば稲尾和久、菅野智之に並んで2位タイとなる。

青柳、クライマックスシリーズで雪辱なるか

今季の阪神は開幕9連敗で始まったが、青柳・伊藤将司らの先発陣を始めリリーフ陣の獅子奮迅の活躍もあり、7月上旬には一時、2位に浮上するV字回復を見せた。
その後、僅差で競り負けるなど首位・ヤクルトを追い落とすことはできず、紆余曲折あり、結局、勝率5割を切ったが、シーズン3位に滑り込んだことで、クライマックスシリーズ進出の権利を得た。

今週土曜、10月8日から始まるセ・リーグのクライマックスシリーズファーストステージ、横浜スタジアムでのDeNAとの初戦では、青柳の先発が予想されている。
昨季、阪神は2位で臨んだ、3位・巨人とのファーストステージでは、第1戦に敗れ、後がない第2戦に青柳が先発して3回もたず3失点KO。
チームはそのまま敗れ、ファイナルステージへの進出を逃してしまっている。

今季の青柳はコロナから復帰後、夏までは防御率1点台前半と絶好調であったが、8月中旬以降は失点するケースも増え、援護にも恵まれず、7試合、勝利から遠ざかった。
疲労はピークに達しているだろうが、矢野監督ラストイヤーでもう一足掻きするためには青柳の快投は不可欠である。


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