山本由伸・奥川恭伸、CSファイナル初戦で共に無四球完封勝利

日本シリーズ進出を懸けたクライマックスシリーズのファイナルステージの初戦、オリックス・バファローズの山本由伸(23歳)と東京ヤクルトスワローズの奥川恭伸(20歳)が揃って、完璧な投球を見せた。

セ・リーグのクライマックスシリーズ、ファイナルステージは東京ヤクルトスワローズと読売ジャイアンツとの間で戦われているが、その第1戦に先発したヤクルトの奥川恭伸が9回を投げ切り、無四球完封勝利を挙げた。

奥川は初回に3点の援護をもらうと終始、危なげない投球を続けた。
プロ2年目の今シーズン、プロ初勝利を含む9勝を挙げ、防御率3.26という好成績を挙げたが、完封はおろか完投勝利もなかった。
しかし、この日は自己最長となる8回を超え、9回もマウンドに上がると、走者一人を許したが、98球、被安打6、9奪三振、無四球で完封勝利を挙げた。
100球未満での完封勝利、いわゆる「マダックス」での達成である。

一方、パ・リーグのクライマックスシリーズのファイナルステージは、オリックス・バファローズと千葉ロッテマリーンズで争われているが、第1戦に先発したオリックスの山本由伸も初めてのポストシーズン登板に臨んだ。
初回、T-岡田の先制タイムリー安打で1点の援護をもらえばあとは十分とばかり、9回を126球で投げ切り、被安打4、10奪三振、無四球という圧巻の投球内容で完封勝利を挙げた。山本はシーズンから続いている連勝を「16」に伸ばした。

NPBではパ・リーグが1973年から1982年まで、シーズンを二つに分ける前期・後期制を採用し、前期の優勝チームと後期の優勝チームでリーグ優勝を決めるというシステムであった。

そして、21世紀に入り、NPBでは再びプレーオフが導入されるようになった。まず、パ・リーグが2004年からレギュラーシーズンで勝率の高い上位3チームで「プレーオフ」を行うようになり、2007年からはセ・パ両リーグで「クライマックスシリーズ」として導入されるようになった。

パ・リーグの2004年-2006年の「プレーオフ」、2007年以降のセ・パ両リーグの「クライマックスシリーズ」で完封勝利を挙げた投手は奥川恭伸、山本由伸で15人目・16人目である。

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奥川恭伸は高卒プロ2年目、20歳6か月でポストシーズン初登板となり、かつ最年少での完封勝利となった。これまでの最年少での完封勝利は2007年の成瀬善久(ロッテ)の21歳4か月であった。
また、レギュラーシーズンで完封勝利がない投手が、プレーオフ、クライマックスシリーズでプロ初完封勝利をマークしたのは、2013年の岡本洋介(西武)以来、2人目である(なお、岡本はレギュラーシーズンでの完封勝利が無いまま、2019年オフに通算14勝で現役引退している)。

一方、山本由伸は初回の1得点を守り切っての「スミ1」の完封勝利となったが、過去、1-0の完封勝利は2006年の松坂大輔(西武)、同じく2006年の八木智哉(日本ハム)の2度あるが、初回の1得点だけの完封勝利は山本由伸が初めてである。
なお、2006年の松坂大輔も八木智哉も投げ合った相手は、ソフトバンクのエースである斉藤和巳である。
斉藤和巳はこの年、18勝を挙げ、最多勝、最優秀防御率、最高勝率、最多奪三振、最多完封の、いわゆる「投手五冠」(NPB史上7人目)を達成し、オフに沢村賞を受賞するなど、ホークスを勝率1位に導いたがが、この年のクライマックスシリーズ、斉藤は2試合とも9回1失点で2敗を喫した。ファイナルステージでは日本ハムと対戦し、勝てば日本シリーズ進出という試合で、八木智哉と9回まで0-0で投げ合ったが、最終回にサヨナラ負けを喫した。その瞬間、斉藤はマウンドで崩れ落ち、チームメートに抱きかかえられながら、ベンチに下がった場面はあまりにも有名だ。

山本由伸と奥川恭伸、日本シリーズでの激突は?

山本由伸も奥川恭伸も、チームが日本シリーズに勝ち進めば、先発で投げ合う可能性がある。
プレーオフ、クライマックスシリーズで完封勝利を挙げた投手同士が、その年の日本シリーズで先発で投げ合うことになると、2013年の巨人対楽天の第2戦と第6戦、巨人・菅野智之と楽天・田中将大以来ということになる。

第2戦は、菅野が楽天打線を5回までゼロに抑えるも、6回に銀次にタイムリー安打を浴びて降板、一方の田中は完封ペースできたものの、8回に2番・寺内崇幸にソロ一発を浴びたが、被安打3、12奪三振、そのホームランの1失点に抑えて、127球で完投し、楽天が2-1で勝利した。

Koboスタジアム宮城で行われた第6戦、菅野は7回を投げ、106球、3安打2失点(自責点1)に抑えた。一方、田中将大はレギュラーシーズン24連勝、ポストシーズンを含めると30連勝で臨んだが、ホセ・ロペスの2ランを含む被安打12を浴び、4失点、160球の熱投も虚しく、完投負けを喫した。

そして3勝3敗で迎えた翌日の第7戦、楽天が3-0とリードして迎えた9回、星野仙一監督は、昨日160球を投じた田中将大をマウンドに送る。
田中将大は先頭の村田修一にセンター前ヒット、2死からホセ・ロペスにライト前ヒットを許し、2死一、三塁のピンチを招くが、続く代打・矢野謙次を三振に斬って取り、東北に悲願の日本一をもたらすのである。

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