ポイント経済圏活性化への新戦略【2024年 最新データからみる経済圏意識とポイント動向勉強会 Vol.1】
今回は2024年2月27日に開催した「2024年 最新データからみる経済圏意識とポイント動向勉強会」のセミナーをもとに、ポイント経済圏についてお話していきます。ポイント経済圏の実態が分かる内容となっていますので、ぜひご活用ください。
調査結果をMMD研究所に公開していますので、こちらもあわせてご覧ください。
▼連載コラム
Vol.1 ポイント経済圏活性化への新戦略
Vol.2 Vポイントと通信キャリアによる市場変革
今回の連載コラムにてお伝えする内容は大きく4点です。
① 共通ポイントの実態
② Vポイント経済圏参入によるポイント経済圏市場の意識・動向変化
③ 金融サービスを絡めたポイント経済圏の実態
④ Vポイント経済圏を含めたポイント経済圏の姿
「ポイント経済圏」の定義とは?
それでは本題に入る前に「ポイント経済圏」の定義について確認していきましょう。
「ポイント経済圏」は3つの構成で成り立っています。
① 通貨
こちらは共通ポイントを指しています。
② 決済
QRコード決済や電子マネー、クレジットカード等幅広くございます。
③ ポイントを使う・貯める
通信、金融、買い物などの生活のなかでポイントが使ったり、貯めたりできることです。
この3つの構成のなかで特に重要なのは「通貨:共通ポイント」です。そこに「ポイントを使う・貯める」といったポイントのお得さをあわせて推進することでポイント経済圏の顧客基盤の拡大に繋がっていきます。
ポイント貯蓄からポイント運用へ
最新のデータを見る前に、まずは前回と前々回のおさらいです。
普段の支払い方法におけるキャッシュレス比率が2022年は59.1%だったのに対し、2023年は60.3%と6割を超える結果となりました。年々キャッシュレスの勢いが増していることが分かります。
これと比例してポイントも伸びており、金融面ではポイントを「運用」することも増えてきています。ポイントを貯めることが「運用」に繋がり、新しいポイントの在り方が形成されてきている印象です。
また、キャッシュレス決済ユーザーのなかには「ポイントを貯める月間」を決めるなどとポイントへの意識が根付いている人も多く、非常にポイント経済圏の存在感が高まってきています。
各ポイント経済圏の変化として、ポイントを貯めるだけでなく運用して循環させる流れが生まれてきています。
Vポイント経済圏の参入と市場の変化
Vポイント経済圏が2024年春から新たに参入することで、各社取り組みの変化はあるのでしょうか?
各社、自社のポイント経済圏からVポイント経済圏へ流出することを危惧していると思います。国の政策としても官公庁や地方自治体とキャッシュレス事業者が連携して、経済の活性化につなげるという動きが全国規模で見受けられます。
VポイントとTポイントが統合した新しいブランドに対しては、リニューアルしたポイントであったり、SMBCグループのサービスポイントであったりと、市場の関心が非常に高まっています。
ポイント意識の高まりとポイントサービスの未来展望
お待たせいたしました。ここからは最新版のデータの解説をしていきます。
まず、複数回答で聴取した活用している共通ポイントの結果を見ていきます。
Vポイントは前回の8.7%よりも伸びており、10.7%となりました。JREポイントやメルカリポイント等の従来からあるポイントサービスを上回っています。Tポイントは前回49.8%で今回48.3%と減っているので、その分Vポイントが増えているという見方もできる結果です。
※前回調査結果はこちら
では次にメインで活用している共通ポイントの結果を見ていきましょう。
順番自体は前回調査と変わりないですが、トップの楽天ポイントの数値がやや減少しています。その分dポイントやPayPayポイントが伸びている結果です。特にPayPayポイントが1.0ポイント伸びた背景として、QRコード決済やポイントの運用投資などでポイントが貯まると認識・想起されている結果だと思います。
経済産業省が発表しているキャッシュレス決済比率はずっと右肩あがりになっており、キャッシュレスがしっかり根付いてきています。ポイント意識が高まったことでさらに伸びていくと思いますが、そのポイントサービスが生き残るかどうかは今後注目です。
ポイントサービスが描く消費地図
次にポイントの利用場所の結果を見ていきます。
オンラインサービスをみると、EC・デリバリー・旅行予約サイトといったサービスは楽天ポイントやPayPayポイントが高い結果となっています。Pontaポイントがもう少しオンラインサービスに紐づいてくると楽天ポイントと同様な数字になってくるのではないかと思います。
今回の調査は先日KDDIがローソンにTOB実施するという発表前に聴取したものになりますが、オフラインサービスでPontaポイントはコンビニ利用が最も高い結果となっています。幅広い年代層がPontaポイントを利用するようになり、ローソンとの動きやリクルート系サービスとの連携で貯めやすくなってきています。他にもdポイントは、オンラインサービスに対してオフラインサービスの方が高い結果になっています。
Vポイントに関してはTポイントのような動き方をしていることもあり、家電量販店やホテル等一定のシェアが取れています。そのため、オフラインサービスの強さがすでに出始めています。各社サービスごとに特色が出てきている状況です。
次に、ポイントを使う場所もあわせて比較してみます。
上記は各ポイント経済圏のポイントを貯める場所・使う場所を上位7項目抜粋した表です。
dポイントやPontaポイントは通信料金でポイントが非常に貯められている傾向があります。通信料金でポイントを使う、というところはあまり結びつかないため、基本的に通信料金で貯めたポイントは別の場所で使っているようです。
Vポイントはポイントを貯める場所がコンビニや家電量販店などと順調で、ポイントを使う場所を今後どこにするのか注目していきたいと思います。
全体的にポイントを貯めるユーザーが非常に増えてはきているので、今後のフェーズとしてはポイント投資に使っていくことになるのかなと思います。
・MMDLabo株式会社
通信・端末・決済などモバイルやIT分野のマーケティングレポートでは国内最大規模の調査機関です。
モバイルインターネットで生まれる新しい体験を調査・分析し、価値ある情報を発信することでモバイルインターネット業界の発展に貢献します。
・MMD研究所
2006年9月より運営しており、700件以上の調査データを通じてモバイルユーザーの消費行動や実態を発信しています。