中日翻訳の練習:ジャック・マーのスピーチから【前半部】(第2回外灘金融サミット、上海、2020年10月24日)

  尊敬的陈元主席,各位领导,各位金融界的朋友,大家上午好。

尊敬する陳元委員長(外灘金融サミット組織委員会委員長)、リーダーの皆様、金融界のみなさん、おはようございます。

  感谢大会的邀请,很高兴有这么个机会和大家一起学习、交流和探讨。

外灘金融サミットにお招きいただきありがとうございます。このような機会をいただき、みなさんと学び、意見を交わし、討論できることをうれしく思います。

  2013年,也是在上海,我来到了上海陆家嘴金融峰会,发表了一通关于互联网金融的那时称之为异想天开的一些观点。七年过去了,今天我自己作为一个非官方的非专业人士,又来到了上海的外滩金融论坛。希望有一些观点供大家思考。

2013年にも上海で、陸家嘴金融サミットに参加し、インターネット金融について、当時は奇抜だと言われた見解をお話ししました。あれから7年がたち、本日、その道のプロではない一個人として、また上海の外灘金融サミットにやって参りました。何か参考になる意見を言えたらと思います。

  其实今天要不要来讲,坦白来说我很纠结。但是我想我们这一批人,或者我们这一代人有一个东西,那就是责无旁贷,是要为未来思考,为未来思考的责任。因为这个世界虽然留给我们发展的机会很多,但是关键性的机会也就这一两次,现在就到了最关键的时刻。

実のところ、本日ここに来て話すべきかどうか、悩みました。ですが、われわれの世代の人間には果たすべき責任があると思いました。未来のために考える責任です。というのも、この世界には発展できる機会がたくさんあるとはいえ、決定的な機会となると一度か二度で、今がまさに最も決定的なときですから。

所以我想来这儿讲一讲我自己的一些想法和一些看法,这是我们自己16年来实践经验总结出来,加上有幸担任联合国数字合作高级别小组联合主席和联合国SDG的倡导者,我跟全世界的很多学者、专家和实践者经过了探讨、研究。

そうしたわけで、こうして私の考えや見方をお話しすることにしました。これは、われわれの16年の実践経験から導き出したものです。それに私は、国連の「デジタル協力に関するハイレベルパネル」共同議長やSDGアドボケートを担当させていただき、世界中でたくさんの学者や専門家の方々、業界の方々と討論・検討してきた経験もあります。

我想我已经算是退休了,在这个非官方的论坛上面,想畅所欲言一下,分享一些非专业人士的专业看法,所幸我发现今天现在绝大部分专业人士已经不讲专业了。有三个观点仅供大家参考,可能不成熟,讲得不对,贻笑大方,但是也就大家估且一听,觉得没道理,忘了就算。

すでに一線を退いた身ですから、この非公式フォーラムで、自由にお話しさせていただき、その道のプロではない人間の(非)専門的な見方をご紹介したいと思います。幸いにも、昨今はプロの方々が自身の専門について語ることがほとんどなくなっていますから。三点お話ししたいと思います。もしかしたら、浅薄で、間違っていて、笑止の沙汰かもしれません。とにかく、とりあえず聞いてみて、ナンセンスだと思いましたら、忘れてください。

  第一个观点,一直以来我们都有一些思维上的惯性,比如总觉得要为了要跟国际接轨,必须要做欧美发达国家有而我们没有的所谓空白,要填补国内空白。把填补国内空白当作追求的目标。

一点目です。わたしたちには、なかなか抜けない考え方のクセがあります。国際的に取り残されないように、欧米先進国にあってわれわれにない部分、いわば国内の空白を埋めなければいけないと考えがちなこと、国内の空白を埋めることを目標にしがちなことです。

  我一直认为在今天的形势下,填补空白这句话是有问题的,不是因为欧美的就是先进的,就是我们要去填补的。其实我们今天不应该刻意地或者一味地去追求和哪个东西接轨,适应哪个国家的标准,填补哪一个空白,今天我们要思考的是如何和未来接轨,如何适应未来的标准,怎么样去弥补未来的空白,我们要想明白未来是如何的,以及自己到底要做什么,然后再去看看别人怎么做,如果永远重复别人的语言,讨论别人设定的主题,我们不但会迷失现在,更会错失未来。

ずっと思っているのですが、今日の状況で、「空白を埋める」というのは問題です。欧米のものは先進的だからわれわれはそれを取り入れるべき、ということではいけません。必死になって、何かとリンクしようとしたり、どこかの国の基準に合わせようとしたり、何らかの空白を埋めようとしたりすべきではないのです。私たちが考えるべきなのは、未来とのリンク、未来の基準、未来の空白のことなのです。まずよく考えるべきなのは、未来がどのようになるか、そして自分たちが何をしたいのかです。他人がどうやっているかをチェックするのはそのあとです。他人の言葉ばかり繰り返し、他人の決めた目標ばかり話し合っていたら、現在を見失うばかりか、未来を逃すことにもなります。

  二战以后,世界需要恢复经济的繁荣,布雷登森林体系建立起来以后,对全球经济的推动是巨大的。后来亚洲金融风暴发生以后,巴塞尔协议讲的风险控制,越来越受到重视,到后来变成了一个风险控制的操作标准。现在的趋势是,越来越像全世界只变成只讲风险控制,不讲发展,很少人去想年轻人的机会、发展中国家的机会在哪里。

第二次大戦後、世界は経済の繁栄を取り戻す必要がありました。ブレトン・ウッズ体制の確立により、世界経済は大きな推進力を得ました。アジア通貨危機の発生後には、バーゼル合意の謳うリスク抑制がますます重視されるようになり、バーゼル合意はリスク抑制のオペレーション基準となりました。現在の傾向としては、世界中でリスク抑制ばかりがますます強調され、開発がうとんじられています。若い人たちや発展途上国のチャンスがどこにあるか考えようとする人はほとんどいません。

这其实也诞生了今天世界的很多问题的根源。我们今天看到的巴塞尔协议本身也让欧洲的整体创新受到了很大的限制,比如在数字金融方面。

実はこのことが今日の世界のさまざまな問題の原因となっています。バーゼル合意そのものが欧州のイノベーション全体を大きく制限しています。たとえばデジタル金融の分野で。

巴塞尔协议,比较像一个老年人俱乐部,它要解决的是运转了几十年的金融体系老化的问题,欧洲那些老化的体系,系统极其复杂。但是中国的问题我认为正好相反,中国不是金融系统性风险,因为中国金融基本上没有系统,而是缺乏 中国是缺乏金融系统的风险。

バーゼル合意は、老人会に似ています。解決しようとしているのは、数十年稼働してきた金融システムの老朽化の問題です。欧州の老朽化したシステムは非常に複雑です。一方、中国の問題は思うに真逆です。中国の問題は金融のシステミックリスクではありません。中国の金融にはシステムがないも同然なのですから。中国の問題は金融システムがないというリスクなのです。

中国的金融和其他刚成长起来的发展中国家一样,在金融业我们是青春少年,还没有成熟的生态系统,没有完全地流动起来。大银行,中国有很多大银行更像是大江大河和血液的动脉,但是我们今天更需要湖泊、需要水塘,需要小溪小河,需要各种各样的沼泽地,缺少了这些生态系统,我们才会涝的时候涝死,旱的时候旱死,所以,今天我们国家是缺乏健康金融系统的风险,我们需要的是建设金融的健康系统,不是金融系统性风险。

中国の金融は、成長しはじめたばかりの途上国と同じように、若い産業なのです。まだ成熟したエコシステムがなく、完全には動き出していないのです。中国にあるたくさんの大銀行は、大河川や動脈に似ています。ですが今われわれに必要なのは湖や池や小川・支流です。いろいろな沼地です。こうしたエコシステムがなければ、大雨が降れば洪水で死んでしまいますし、ひでりが続けば干ばつで死んでしまいます。今日の中国の問題は、健全な金融システムがないというリスクなのです。われわれに必要なのは、金融の健全なシステムを整備することです。金融のシステミックリスクを心配することではありません。

这是两个完全不同的病,就像老年痴呆症和小儿麻痹症,看起来都一样,但是这是两个完全不同的病。如果小孩子吃了老年痴呆的病,不光会得老人的病,而且还会出现很多莫名其妙的病。

これらは、全く別の二つの病気のようなものです。アルツハイマー病とポリオのように、一見症状は似ていますが、全く別の病気なのです。もし子どもがアルツハイマーの病気(薬)を飲んだら、老人の病気にかかるだけでなく、たくさんの奇妙な病気も発症することでしょう。

这个巴塞尔协议就是考虑系统老化、过度复杂的老年人的病,而我们要思考的是跟老年人要学什么?要知道老年人和年轻人关心的问题都不一样。年轻人的城市关心的是有没有学校,老年人关心的是有没有医院。

バーゼル合意は、システムの老朽化や過度の複雑性からなる老人の病気のためのものです。ですがここで考えるべきなのは、老人から何を学べるだろうか、ということです。いいですか。老人と若者では関心事が異なります。都市のことで、若者の関心事は学校の有無です。老人の関心事は病院の有無です。

所以,今天世界的变化是非常神奇,非常快速。我也很自豪地跟大家宣布,昨天晚上就在上海,我们就决定了蚂蚁金服的上市的定价。这么大一次,全人类有史以来最大的上市,在纽约城以外定价,这是第一次。在五年前,甚至三年前,我们想都不敢想,但是奇迹就这么在发生。

そんなわけで、今日の世界の変化は、非常に不思議で、非常にはやいです。ここでみなさんに胸をはって発表させていただきます。昨晩わたしたちは上海でアント・グループのIPO公開価格を決めました。これほど大規模な、世界史上最大の上場が、ニューヨーク以外で行われるのは、今回が初めてです。5年前、いや3年前でも、こんなことは想像もできませんでしたが、奇跡が起こっているのです。


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