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テーマ「通常の体外受精」

こんにちは。
みなとみらい夢クリニック 培養室です^^。
今回は通常の体外受精(精子を振りかける方法)についてです。

無題

「卵子に精子を振りかけて受精させる」とは
実際どのような方法で行っているのか、お話させていただきます。

~~~ 実際の方法 ~~~

➀精子の準備

まず精子のチェックを行います。

精子精製後なので元気な精子が集まっていることは分かっていますが、
ごくごく稀に少し時間をおくと元気がなくなってしまう精子もいます。

その為、精子を振りかける直前にも精子のチェックを行います。
振りかける直前の精子をスライドガラスに乗せ、倒立顕微鏡下で確認します。

(精子精製とは?と思われた方は、過去の記事「テーマ:精製」をご覧ください)

精子はオタマジャクシのような形で
全てしっかり前に進んでいると思われている場合が多いですが、
実際によく観察をすると
精子精製後の精子でも、くるくる同じところで回っている精子、
大きな円をかくように動いている精子、
たまにピクッとだけ動く精子など様々な精子がいます。

その中で動きが良く元気があり、
受精しそうな精子がどのぐらいいるかを観察します。


②卵子の準備

卵子は採卵後、成熟確認が終わったら
通常の体外受精、または顕微授精が行われるまで
インキュベーター(おなかの中の環境を模倣した卵を培養するための機械)
で培養されています。

(採卵・成熟確認とは?と思われた方は、過去の記事「テーマ:採卵」「テーマ:卵子の成熟度と確認方法」をご覧ください)

インキュベーターから卵子を取り出し
ガラス管を使用して受精させる専用のお皿に
卵子をそっと移します。

受精させる専用のお皿はウェルと言われる小部屋が多数あり、
それぞれ50μℓの受精させる専用の培養液が入っています。

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※卵1つにつき1ウェル使用します。


これで卵子の準備もOKです。

では実際に精子を振りかけていきます。


③精子をふりかける方法

精子精製された精子の濃度や運動率は患者様ごと異なります。
そこで精子の濃度や運動率、
最初に見た精子の動き方を考慮し、
個々に適切な量を決め、
その量を卵子のウェルの中に入れていきます。
量としては0.5μℓ~3μℓぐらいの間で入れていくことが多いです。

また、精子だけではなく
卵子の周りについている細胞の状態も見ながら
精子が卵子にたどり着きやすいか否かも考慮し、
精子量を考えます。

画像3

精子量が決まるとピペッターを使用して正確に計り取り、
卵子が入ったウェルに精子を入れていきます。

この精子の入れ方も
卵子に直にふりかけるよりも、少し卵子から離した場所に精子を出すことによって良い精子が自力で卵子のもとに泳ぎ、良い精子が受精すると考えたり、
卵子をウェルの縁に置くことにより、縁に沿って泳いできた精子が卵子と出会いやすくしたり等
ふりかけ1つとっても胚培養士の工夫が詰まっています。

精子をふりかけた後は
受精専用のお皿と培養液のままインキュベーターに戻し、
次の日の朝、受精確認が行われるまで培養を続けます。

胚培養士は、「受精するんだあぁぁぁぁ!」と熱く願いながら
作業は冷静に素早く日々行っております。^^

通常の体外受精(精子をふりかける方法)のイメージはつきましたでしょうか?

わからない事があれば、どのようなことでもクリニックでお聞きください^^

それでは次は顕微授精についてです♪
今回はこちらで失礼いたします。

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