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テーマ「卵子の成熟度と確認方法」

こんにちは。
みなとみらい夢クリニック培養室です。

今回は卵子の成熟度と、
その成熟度をどのように確認しているかについて
ご紹介いたします。

■ 基本的な体外受精の流れ

体外受精の流れでは
黄色で囲った【成熟確認】の部分です。

①体外受精の流れ

■卵子の成熟度の確認

当院では、採卵で回収した卵子の成熟度を確認していきます。

まず、卵子の成熟度は
1. 成熟している卵子
2. 少し未熟な卵子
3. 未熟な卵子
この3段階があります。

【極体(きょくたい)】があるか、
【卵核胞(らんかくほう)】があるかを見て判断していきます。

1. 成熟した卵子には極体と言われる小さな細胞が透明帯と細胞の間に見えます。
2. 少し未熟な卵子は極体がまだ見えていない状態です。
3. 未熟な卵子は卵核胞と呼ばれる少しへこんだ部分が見られます。

培養士はこれらを観察し、成熟度を見極めます。

※午前中の採卵の場合は採卵当日の夕方まで成熟の観察を続けます。
※午後の採卵の場合は次の日の朝まで観察を行います。

■極体や卵核胞の観察

次に極体や卵核胞をどのように観察をしているかについてです。

採卵で回収した卵子を培養液に入っている状態で観察をしても、
卵丘細胞(卵巣のなかで卵子に栄養を与えていた細胞)が卵子のまわりを覆っているため上手く観察することができません。
そこで、観察をしやすい状態を作る必要があります。

****** 実際の手順をご紹介します。******
まずはインキュベーター(培養器)から、
卵胞液から回収した卵子の入ったお皿を出し、
患者様の名前と入っている卵子の数と状態を確認します。

そして別のお皿に培養液を薄くのばします。
その上に卵子を置きます。

卵丘細胞と比べて卵子は硬さがあり伸びにくいので
卵子の部分だけがプクっと飛びでたようになります。

③培養液の量

このような状態になったら、
まずは大きな卵丘細胞は邪魔になるので
注射針を使用して卵子の周りの卵丘細胞を小さくカットします。

④卵丘細胞カット

小さくカットした卵丘細胞がついた卵子を
倒立顕微鏡で観察をすると
先ほどの写真のように成熟度が確認できます。

成熟度を確認したら、
培養液がいっぱい入ったお皿に卵子を移し
再度インキュベーター(培養器)に入れ培養を行います。

***

当院では採卵後、卵子の成熟度をしっかり確認することにより、
卵子にとってよりベストな媒精方法(受精させる方法)を
提案できるようにしています。

成熟確認の作業もできるだけ短時間かつ正確に行うことが必要となります。

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