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夢から醒めてもなお

酒で、長い夢を見た。

4、5年前に描いた絵を人に見せた。どんな褒め言葉よりも、スマホの画面を何度も拡大しては元に戻し、言葉もなく、私の描いたものと対峙してくれたことが、大変に嬉しかった。

私がどんな思いで色を落としたか、一つ一つの言葉を聞いて、感心したように相槌を打ってくれたことで、光が射したように感じた。

話したいことを、話したいだけ話して、笑ったり頷いたりする。知らないことを知り、「またね」なんていう不確かな約束をする、満ち足りた世界の夢を見ていた。

店は閉まる。会合はお開きになる。
言葉の通り、閉じられた空間の中で酒に酔い、自他の境界が不明瞭になり、もはやひとつに融合しかけていた人間と人間とが開けた屋外に解放されることで、個を取り戻す。

酒が抜けたら、寝て起きて目が覚めたら、その夢は崩壊する。
世界は停滞しない。
変わり続けないものはこの世にはいられない。

それでも、大切な人が今自分の目の前で生きている、その一瞬が今ここにあるだけで十分ではないか。
無くなると分かっていて、無くならないでほしいと涙が出るほど切に願うことができるほどのものを得られている、そんな自分の幸福に気が付くべきなのではないだろうか。

最近酒に酔うと決まってそのようなことを思うのだ。

誰に言われたからではない、私がそうしたいと思うから、そのように生きていけばいい。

自分の人生論や価値観が行動を伴い、いつしか他人の思考の範疇を抜け出した時に、きっと初めて本質的な個性が芽を出す。

やりたいことをやる。会いたい人に会う。
目の前にある幸せが形を変えて、永遠に続く夢となるように。

現実を生き抜く意義はきっとそこにある。



〜シラフ翻訳〜
飲み会が楽しかったです。
またやりたいです。
集まってくれたサークルの人たちが大好きで、愛おしくてたまりませんでした。

ここまでは学生時代と同じ気持ちですが、ここから先はちょっと大人になったなと思ったエピソードです。

もう今月財政が厳しかったので貯金を切り崩して飲み代を多めに払いました。そうしたら「使い過ぎた」という後悔なんかひとつもなく、「大切な人に金を使えるって、なんて幸せなんだろう」と心から思いました。
ただの飲み会だったかもしれないけれど、酒に金を費やすなんで無駄かもしれないけど、今ある大切なご縁を抱きしめて生きるために稼ぎたいです。



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