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苦くて眩しい、


※この記事は、映画「怪物」の台詞や場面に関する内容、それらへの個人的な解釈を含みます。








映画「怪物」


安藤サクラ、瑛太、坂元裕二。

見るのにじゅうぶんな理由が揃っていて、

それなのに、わたしは普段頻繁に映画を見るほうではないので、映画館にいざ行こうというときに躊躇ってしまうことがある。


どの映画なら見て、
どの映画なら見ないってことにするんだろう。

とか思ってしまう。

アマプラとかネトフリとかいろいろあるし。
映画館で映画を見るときの理由ってさ。


それでも、

「あ、見なきゃ、」

とか思ってしまったなら、
絶対に見たほうがいいに決まっている。



田舎の映画館。

上映開始からわりと期間が空いた作品。

席がまばらに埋まっている。


まだ観てもいないのに、

「この作品を選んだわたしたちって絶対にセンスがあるよね、」

と心の中で思ったりして。


ちいさなライブハウスに集まったひとたちと、
別に言葉を交わすこともないのに、まるで、
仲間みたいに感じるのと似ているなあと思った。







湊と依里がとにかく美しかった。


この感想で合ってるのかわからないけど、

いちばん強く感じたのはこのことだった。




二人の瞳が、

「ああこんなふうに生きたいな、」

って思うきらめきで。



そんなふうになれるまでに、



大切な人にとっての理想でいなきゃって、

自分の心の汚いとこをたくさん知って、

でもやっぱりいちばん大切にしたい人を大切にするべきでけど上手くいかなくて、





それでもやっぱり、

二人の世界がいちばん眩しくて。





誰かにしか手に入らないものは幸せって言わない。誰でも手に入るものを幸せって言うの。

映画「怪物」



幸せはもっともっと特別なはずなのに。

その人だけの、ものなのに。


はじめにこの言葉を聞いたとき、
直感的にそう思ってしまった。


けどそうじゃなくて。


幸せは、誰にだって、手に入れられる。

誰もが、自分の好きな形で幸せになる。

そういう権利を自由を持っている。



わたしたちは、幸せになっていいんだ。




誰かに優しくいようとしたら、

誰かの幸せを考えたら、


わたしのこころは押し潰されて、

しあわせでいられなくなってしまう。




幸せでいていいんだよ。


心が動くこと。

瞳が輝くこと。


それを大切にしていいんだよ。



最近ふと、

「あれ?わたしここで何してるんだっけ、」

って。ふいに、自分で自分の人生をつまらなくしてることに気づいてしまった。


かっこつけて、わたしっぽいわたしでいて、
なにを守ろうとしていたんだろう。





わたしと、わたしが大切に思うもの。

ただそれだけを守っていけばいいんだよ。



そうやって、幸せになっていく。


そうだった。

元々、そういうふうにできてたんだよ。




生まれ変わらなくたって、

今、幸せになるんだよ。





映画を見ながら、ところどころ、誰かにしがみついていたくなるぐらいに怖くなって、心臓を抉りとられるような感情に襲われた。



わたしたちは、
自分以外の誰かのことを怖いなとか思うのに、
また誰かに救われたいなとか思うんだよね。



この映画に出会えたから、
わたしはこれから輝けるかもしれない。

この映画の良さをちゃんとわかる人を
わたしは好きになるのかもしれない。


とかね、言ってみるんだけど、

全部を分かり合えなくたって、
君が君であること。

それがいちばん、眩しいんだよ。