「いちばん」という副詞




私には大好きなアイドルがいる。

好きになった瞬間のことは正直覚えていない。

この時期から好きだった、という記憶はあるけど、何かにビビッときたんだろうか?きっかけや入り口はよくわからない。






彼は、私にとって「いちばんのアイドル」だ。


「いちばん好き」で、

「いちばんキラキラしている」。



とびきりの、

とっておきの、

かけがえのない、


そんな存在。




コロナ禍では、我慢をしなきゃいけないことがたくさんある。現に、してきた。そして今も。





だからあえて自分へのご褒美を用意する。





お気に入りの色味のリップを見つけた。

季節の変わり目に新しい服を買う。




「したいこと」を我慢することが続くから、代わりに、「欲しいもの」を我慢しないようにしてきた。





だけど、ダメだ。

全然、ダメだ。



私が見たいのは、

「いちばん好きな人」のステージだ。


私が求めているのは、

「いちばんのアイドル」が作るステージだ。


眩しくって涙がじわりと溢れる、

自分の知らない自分がいるみたいに

心の底からキラキラの笑顔になれる、

あの時間を過ごしたいんだ。


知らぬ間に気を遣ってニコニコ笑うアレじゃない。

日々のいろんな気持ちをどうにかこうにか押しのけるんじゃない、あっという間にしゅわしゅわ溶けていなくなるみたいな、言いようのない幸せな時間。






誰かと比べてどうであるとか、

誰かが彼を想う気持ちとか、

全く関係のない。





私は、今、いちばん好きなあの人に会いたい。







"1番"

って順位を付けているわけじゃない。


表し切れない「好き」を言葉にするとき、どうしても必要な副詞。


いちばん!




誰かと比べて自分は偉いなんて到底思えない。

わたしにしかできないことなんて、ないかもしれない。

それでも、一日、一日、頑張っている。



まだ、ダメですか。

ダメなんて嘘でしょ?






足りない足りない足りない。


いちばんじゃなきゃ。