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好きな人のこと
もしかしたらいつか、わたしのことを好きになってくれるかもしれない人。わたしが、好きになれるかもしれない人。
「ハンブレッダーズってバンドが最近は好きで」と話したらすぐに聴いてくれて、ただ聴くだけじゃなくてこの曲が好きだったと教えてくれた人。
わたしの「好き」は"全部知ってる"ではないから、その曲をわたしは聴いたことがなくて。
「なんかごめん」って心の中で思って、でも、そうやって動いて伝えてくれるなんて本当にいい人なんだろうなあと思いながら、わたしもその曲を聴いてみることにした。
"どんな美しいフィナーレも
君がいないのは嫌だ"
初めて聴いた曲、さらさら流れていくのに
この歌詞だけが頭に残った。
全然違う人のこと、頭に浮かんでた。
好きって、好きな人って、
どういう人のことを言いますか。
みんなにとっては、どうですか。
"好きな食いもん知りてぇ"ってのは、
"君のことが好きです"って意味だ。
好きな食べ物はもう知ってる。
好きな曲も、ちょっと知ってる。
けど、この曲なんで好きになったの、どこが好きなの、とか聞いてみたくなる。聞いたことない。
わたしと同じとこ好きだったらいいな。
違うとこが好きでも、「ここの歌詞が好きなんだ」と思ってその曲のその歌詞のとこ聴くたびに思い出してまた好きになると思う。
恋ってなんだっけ、愛ってなんだっけ、
困った顔で"わからない"と答えた君のこと、
わたしは「素直な人」って思ったんだよ。
好きなタイプは"優しい人"。
ありがちだけど、それがどんな優しさのことを言ってるかってとこが最重要で。わたしがそれを説明したとしたら、なんていうか、あなたの紹介文みたいになっちゃうわけで。
恋だと思って勝手に浮かれてごめんね。
運命とかもうわかんないな。
あの日から、ときめきと静かに向き合っていた。
仕事でいっぱいになった毎日の中で、時間をかけて、ぐちゃぐちゃになった気持ちをほどいていった。
たくさんたくさん自分の気持ちと向き合って、
煩わしいもの全部削ぎ落として、
ああでもないこうでもない行ったり来たりして、
難しいこと、全部やめて最後に残ったのは、
ただ好きだなあと思えたこと。
あーあ、また振り出しに戻った。
わたしの思考はいつでもこうやってぐるぐる回っているみたいで、大切なものはそう多くないことに気付かされる。
君に会えなくても多分生きていけるよ。
全部をなかったことみたいにして、
わたしは毎日を頑張れるよ。
なのに、何の気無しに耳に入った音楽も、どこにでもあるコンビニでも、いつも思い出すのは君だけなんて馬鹿みたいでしょ。笑っちゃうでしょ。
そういうわたしのこと、わたしだけは笑わないでいたいよ。
わたしだけがわたしの辛さをわかってあげられる平凡な毎日に、君との思い出があるのとないのとは大違いなんだよ。
p.s.
思うことはいろいろあって。
明日には全然別物になってるかもしれなくて。
「好き」を簡単にやめられないのも困るけど、違うだれかのことを好きになるのも寂しいと思ってしまって困るなぁ。