だって、出会った。



東京カランコロンの、「ラストのワンマん」。

コロナ禍で、ライブと一緒に解散そのものが延期され続けてきた。

そうすると、解散する事実とか、それを知ったときの苦しさまでだんだんと薄れてしまっていた。でもやっぱり事実は変わらなくて、配信というカタチで、解散ライブが行われることになった。

東京カランコロンというバンドを知ってから、実際にライブを見てどっぷりハマってしまったせいもあって、直接見られないことが悔しかった。

それに、ひとりで家で見るなんて、どんな気持ちになるんだろうとか、その気持ちを誰と分かち合えばいいんだろうとか、そわそわした気持ちでいっぱいだった。



1曲め。「いっせーの、せ!」のイントロ。
せんせいのキーボードの音を聴いただけで、「カランコロンの音楽」を感じて涙腺が緩んだ。

だけど、セットリストがあまりにも最高で、わたしの大好きなカランコロンがそこにあって、メンバーの心から楽しそうな笑顔で溢れていて。

なんだか解散ライブとしての実感が知らぬ間に薄れて、久しぶりの、しかも、贅沢過ぎるライブを見ている気持ちになった。


だけど5人が東京カランコロンになるまでの話とか、全ちゃんがいつになく真面目に話しているのとか、泣きそうになる瞬間もいくつもあった。



ライブの終盤。


愛はそこにあるんです

わたしから見える東京カランコロンがはっきりとコトバにされている気がしてボロボロ泣けた。



「どういたしまして」、「トーキョーダイブ」。

これまでのライブでの思い出が浮かんで。




エンドロールを観る日が来るなら、君とがいい


今、まさに、エンドロール。

見たかったわけじゃないけど、見られて、よかった。



そして最後の曲は、「ラブ・ミー・テンダー」。


好きな曲ではある、けど、この曲で泣いた記憶はなくって。でも、最後であることと重なって、いろんな気持ち全部をこの曲で表現している5人が見えて。

こんなに涙がこぼれるのか、というぐらいに、泣けてしまった。


だって、出会った。それは消せない。


この言葉に、いちばんの重みを感じた。




泣くなんて思わなかったいちろーさんが泣いていたこと、泣きながらも歌ってくれたこと。



このライブを見る前、解散を受け入れられない気持ちがすごくすごく大きかった。

けど。

寂しい気持ちを素直に涙で溢れさせても良くって、それでいて、わたしの大好きな音楽はずっと生き続けると思えた。

出会えたことが、本当に、良かった。




これから、無理にどうにかしなくたって、きっと、東京カランコロンに出会ったことは、消せない。