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東京都心部に必要なのは減税!?

こんにちは、海原雄山です。

統一地方選に向けて、必要な政策についてお話をさせていただきたいと思います。

地方分権を掲げている維新としては、各地に候補者を立てる以上は、各地域に沿った政策の提案が必要だと考えられますので、その地域地域の実情把握の上での提言が必要と考えます。

今回は、維新の得票率が高い、都心3区(千代田、文京、港)の中から、特に日本の中心部とも言える千代田区を例にとって、お話をさせていただこうと思います。


千代田区に住む人って?

皇居も国会議事堂もある千代田区ですが、近年では高層マンションも立っており、近年の都心回帰の影響もあって、ここ20年で人口が1.5倍以上に増加しております。(2000年ごろは4万人を切っていた千代田区の人口は、2022年8月には67,000人超)

都心中の都心と言うこともあり、交通の便がすこぶる良くて、日本のビジネスの中心とも言える大手町・丸の内、あるいは副都心である新宿・渋谷・池袋まで地下鉄1本約10分以内で行ける場所も多いです。

そんな恵まれた環境とも言える千代田区ですが、それなりに物件のお値段をお高くて、築15年1LDKの中古マンションが5,000万円するなんて当たり前。

たまに郵便受けに投函される物件のチラシも、億ションばかりだそうで・・・・

そんな場所に住めるくらいの人たちなので、平均年収もめちゃくちゃ高いです。

とあるネットマガジンの記事です。

千代田区に驚くほど多い「世帯年収1,000万円以上」 東京都内で高収入世帯が多い区市町村 (aruhi-corp.co.jp)

こちらの記事によると、千代田区の26%以上が年収1,000万円越え。子育て世代に限れば、55%以上が1,000万円越えです。

平均年収も調査によりバラバラですが、ものによっては千代田区の平均年収は1,000万円近くになっており、少々異次元の世界となっています。

先述のとおり、不動産価格がかなりのものになっていますので、そりゃそれくらいの高額所得者か、もともとその土地に住んでいた人でないと住めないよね、というのも納得です。

政策の優先順位

高所得家庭が多くお住まいであるため、他の市町村等と違って例えば生活困窮者等の対策が重要かと言うと、きっとそういうわけでもないでしょう。

職が無くて苦しい人は、わざわざ家賃の高い千代田区に住むことはなく、他の市区町村に住むと考えられます。

だとすれば、高所得者には基礎自治体は何をすれば良いでしょうか。

現状の千代田区の行政サービスを見てみると、どの基礎自治体にもあるようなベーシックなものはもちろん、こういうものがあります。

千代田区立メレーズ軽井沢利用案内 (city.chiyoda.tokyo.jp)

軽井沢の保養施設を、なぜか千代田区が作っています。

なぜ、東京の一基礎自治体にしか過ぎない千代田区が、軽井沢にこのような施設を持っているのでしょうか。

これ以外にも、千代田区は協定先の宿泊施設がいくつもあります。

千代田区ホームページ - 区民宿泊助成 (chiyoda.lg.jp)

区民はお得な料金で宿に泊まれて、それはもう千代田区さまさまなんでしょうが、果たして行政がこういうサービスをする意義はどこにあるのでしょうか。

過去の経緯をすべて知っているわけではありませんが、過去に地元の区議会議員や区長が、有権者へのサービス(=票取り)としてこうしたものを作った(あるいはそれを容認した)かもしれませんが、そもそも千代田区に住まう人々は、そうした助成を必要としているのか疑問です。

千代田区に住む人たちは高所得者が多いので、わざわざそういう助成がなくても自分たちの泊まりたい宿に泊まるでしょう。

もし、こうした助成を必要とする方々がいるとすれば、強いてあげるなら、年金生活者の方々かもしれませんが、千代田区に住む方々の資産からすると、助成額は微々たるものなので、「あればいいな」くらいのものでしかないと考えられます。

あまりはっきりとは言えませんが、もしかしたら、こうした助成や宿泊施設を欲しているのは、千代田区の有権者ではないのかもしれません。

だとしたら、この手の宿泊助成等の取り組みは、一見住民想いの良いサービスに見えはしますが、住民本位で考えたとき、残しておくべき必要性については、少々疑問に思われます。

そういうことに住民から集めた税金を投入するくらいなら、例えば区役所や出張所、あるいは区の図書館の開館時間を長くしたりといったことに充てていただきたいなと言うのが個人的な意見です。

やることがないなら減税も手

変にお金を余らせると、行政は必要ないことにまでお金を投じてしまいます。

これは何も行政に限ったことではなく、企業にも言えることで、収益が安定してキャッシュが余っている企業は、「組織の発展と成長」という美名のもと、大してリスクを精査せず新しいことにチャレンジしたがります。

チャレンジするというのは良いことではありますが、余らせたお金でやることなので、極端に言うと「なくなってもいいや」くらいに軽いノリで資金を投じてしまいます。

なので、企業に対し投資家からは、株主への分配を増やせ、もう少し具体的に言うと、「配当を増やせ」「自社株買いしろ」という要求につながっていくわけです。

投資家からすると、株主のお金を余らせて失敗してパァにされるくらいなら、投資したお金を返してほしいということになるわけです。

昨今、企業の自社株買いや増配もニュースでよく聞かれるようになりましたが、それらは単に株主へのサービスととらえるだけでなく、企業の規律を保つ意味でも大事なことであることはご理解いただければと思います。

閑話休題。

再び行政に話を戻すと、余らせたお金は無駄に使われるくらいなら、納税者に返してもらった方が良いわけです。でないと、かつて日本のあちこちであった謎の公共の宿が乱立しては経営難に陥って民間に払い下げするような事態も起こりかねないわけです。

それが、千代田区民の望んだ姿なのでしょうか。

だとしたら、千代田区民が納めた住民税は返してしまうのも手ではないでしょうか。

そう、減税です。

千代田区における減税の実現可能性

フローの話

令和2年度の千代田区のHPにアップされている決算カード等を見てみると、色々なことがわかります。

特別区は他の市等と異なり、固定資産税等が東京都に入ってしまい自分たちには入ってこず、代わりに都から分配される特別区財調交付金を他の特別区と分け合うことになります。

特別区によっては、この交付金でほとんどの歳入である経常一般財源等を賄わなければいけない基礎自治体もありますが、千代田区の場合、経常一般財源等の55%以上を地方税(住民税)でカバーできています。

残りは地方消費税交付金や区の施設の利用料等ですが、特別区財調交付金は、4.4%にしかすぎず、いかに千代田区の地方税収入が多いかお分かりになると思います。

そもそも、千代田区の地方税収入のほとんど(約87%)は区民税の所得割、すなわち、所得に応じて課税される分です。(均等割りは所得に関係なく一律の金額)

ちなみに特別区の場合、法人分の住民税は、都民税として都で徴収されます。

千代田区の特別区民税の所得割の額は、なんと約180億です。

これは、千代田区民のうち6万人が納税したとして、一人年間30万円。

所得控除した後に税率をかけて税額控除してもなおこの金額を、特別区に収めるわけですから、所得の高い人たちがどれほど住民税を納税しているかわかるかと思われます。(ここにさらに都民税も加わります・・・)

このうちの5%、歳入額にして9億でも削れれば、その分だけ住民に還元できるわけです。

ところが、特別区の場合、先述のとおり、入ってくる収入の種類が限られています。他の市町村等と違って固定資産税等は入ってきません。

そのため、個人住民税を削れば、即全体の歳入に大きな影響がありますので、無駄を削るか、あるいは他の財源となる事業が必要になってきます。

無駄を削るなら、先述の宿泊助成等の事業を洗い出し、その収益性を確認して、事業を見直すというのも手でしょう。

あるいは、区が持っている施設のネーミングライツを売り出す等の事業で、いくらかの財源を生み出すことも可能でしょう。

高い?安い? ネーミングライツの値段 – ブランディング戦略のための事例紹介サイト – CBOラボ (cbo-media.com)

こちらの記事によると、西京極総合運動公園陸上競技場(右京区)に命名権(ネーミングライツ)を導入する。年間4千万円以上の収入を見込むとのことですが、日本の中心地である千代田区には、大手町や丸の内、秋葉原といった人の集まるスポットが多くあり、それらのネーミングライツを売り出せば、それなりの収入を確保できることも可能かもしれません。

ストックの話

しかし、これらの行政の無駄を省いたり、費用のかからない新しい収益事業を起こすには時間もかかります。

なので、減税を直ちに実施するにしても、少々時間はかかります。

そこで、短期的には収支がバランスするまで過去の貯金を取り崩すことが必要になります。

そこで着目するのが、財調基金です。これは、過去に積み立ててきたお金mのことで、使い道は割と自由です。

コロナ対策等もあり、財調基金が前年度より70億ほど減っていますが、それでも416億もの積立があります。

ちなみに令和2年度は、区民1人当たりに12万円も配っています。
東京都千代田区は区民に一律12万円の新たな給付金!自治体が独自に実施している給付金制度について調べてみた!|使いたい補助金・助成金・給付金があるなら補助金ポータル (hojyokin-portal.jp)

区民が6万人と切り下げで計算したとしても、72億円に達します。(経費を除いてこの額)

この給付金の必要性の有無については、色々と喧々諤々の議論がありますが、それだけ区の財政に余裕があることは確かです。

現に、区債は令和4年度で完済する等、過去の借金もなく、ストックは十二分にあると言えます。

仮に、住民税の所得割を5%減税した場合、減収額は約9億円。財調基金で賄っても40年以上は持つ計算になります。

もちろん途中で不測の事件事故災害が起こる可能性があるので、いつまでも財調基金だよりにするというのもいけないことなので、早期に行財政改革に取り組んで、実現させることが必要でしょう。


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