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Fotorevista

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写真とフォトストーリーを集めたマガジンです。 #写真 #フォトストーリー
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写真を写心と言い換えるのは反知性的と思うのだ

 写真を写心と言い換えて悦に入る写真愛好者は少なくない。  それどころか、自ら【写心家】と名乗る人物も複数存在している。  なぜ、わざわざそんなダジャレみたいな言い換えをするのかといえば、写真に心を写すから写心、なのだそうだ。  写真に心が写るかどうかはさて置くとしても、写真に心が写っているかどうかを感じ、判断するのはあくまでも写真を見るニンゲンであって、まかり間違っても撮影者が自分から言うものではない。  だが、この言葉は実に広く使われていて、また人々の興味を惹いているのは

ライカの赤いエンブレム

ライカの赤いエンブレムが初登場したのはM4-Pだったと思う。当時の、いや現在でも自分には無縁の機材と思ったが、あまりのカッコ悪さにうんざりしたのは間違いないですよ。それは他の人々も同様だったらしく、当時のカメラ雑誌にはエンブレムがないモデルを探したり、エンブレムをマジックで塗りつぶしたりといったエピソードがちらほら掲載されていました。 おまけに、ボディだけじゃなくてビゾフレックスにも赤いエンブレムがついちゃって、ホンマになんとも言えないしょんぼり感でした。 なにしろ1980年

ミステリアスな2本のゾナー 戦前と戦中のオールドレンズ

ごく簡単なゾナーの説明ゾナーとはレンズの構成型につけられた名前です。子供番組の怪人ではありません。 画像撮影用レンズは、複数のレンズで構成されていて、それぞれの型式を構成型と呼びます。 ゾナーとはツァイスのベルテレという設計者が開発した構成型で、詳細については以下のwikiを参照してください。 ここで重要なのはゾナーはツァイスのレンズで、当時(いや、いまも?)ライバル関係にあったライカには供給されなかったことです。ところが、なにごとにも例外はありまして、さまざまな要因からラ

フィルムカメラが好きなら観といてほしい5大旧作映画+1

カメラやカメラマンが大きな役割を果たす映画はいくつかあり、特に最近の邦画にはカメラ恋愛映画とカテゴライズしても良さそうな作品が続々と公開されていたように思います。ただ、そういった新作や近作の他にも、過去の名作にカメラやカメラマンが重要な役割を果たす映画があるので、ちょっとご紹介させていただこうと思います。 ご紹介させていただく作品は、いずれも映画史に残るであろう傑作であり、同時にカメラマンの所作、つまりカメラを操作する場面が丁寧かつ正確で、なおかつ作品を破綻させていない点で、

思い出のSONY α100を、他のカメラと比べてみたよ

手元にある現役デジカメの最古参はSONYのα100ですけど、特性を踏まえて処理すれば味わい深いシャシンになるから、けっこう気に入っています。 カメラの説明はメーカーサイトを参照してね。 このα100は2006年に発売されたカメラで、ソニーがはじめて送り出したデジタル一眼レフとして、大変話題になったモデルです。 撮像素子はAPS-Cサイズです。当時、すでにキヤノンからEOS-5Dというフルサイズ機も登場していましたが、市場ではまだまだAPS-Cサイズが主流でした。撮像素子の

個撮百景 Portfolio of a Dirty Old Man第6話:本番とリハのあいだに

あらすじ  主人公の【俺】は、都会の片隅に暮らす写真撮影が趣味の中年男。夕暮れ時、思うような写真が撮れないところへSNSに溢れる浅薄なカタカナ言葉を思い出し、苛立ってしまう。今日こそアカウントを削除しようと決意したものの、以前に撮影した地下アイドルから撮影依頼メッセージを受信し、決意も吹き飛んでしまう。いかし、彼女がブログで取り上げた写真という言葉に拒絶反応を起こし、依頼を断ろうかと悩む。口実を探そうと、地下アイドルのメッセージを丁寧に読んで自らの大人気なさに思い至り、撮影を