マガジンのカバー画像

Fotorevista

49
写真とフォトストーリーを集めたマガジンです。 #写真 #フォトストーリー
運営しているクリエイター

#撮影

写真を写心と言い換えるのは反知性的と思うのだ

 写真を写心と言い換えて悦に入る写真愛好者は少なくない。  それどころか、自ら【写心家】と名乗る人物も複数存在している。  なぜ、わざわざそんなダジャレみたいな言い換えをするのかといえば、写真に心を写すから写心、なのだそうだ。  写真に心が写るかどうかはさて置くとしても、写真に心が写っているかどうかを感じ、判断するのはあくまでも写真を見るニンゲンであって、まかり間違っても撮影者が自分から言うものではない。  だが、この言葉は実に広く使われていて、また人々の興味を惹いているのは

おじさんポトレって【写真館の肖像写真】なんだろうなぁ……

いわゆる被写体界隈で【おじさんポトレ】ってミームがあって、まぁ嫌われてますね。使われ方も、ほぼほぼ罵倒語です。で、おじさんポトレを簡単に説明すると記念写真で、カメラマンが言うところのニコパチです。それは、以下の記事で【よい写真】として紹介されてるようなポートレートなんですわ……。 ねんのため申し上げておきますが、記事に他意はありません。むしろ、すごくよくできた記事です。営業写真館的なポートレート、はっきり言って【お客様が喜んでお金を払いたくなるようなポートレート】を撮るなら

SAITAMA RUNWAY2024 みてきた話

ランウェイ撮影のまとめ基本的にライブやステージ撮影と同じ要領 照明がバッチリ当たるので絞っても大丈夫 むしろ絞って全身のファッションを撮ろう 会場見取り図は絶対に事前チェックしよう 最低200mmできれば300mmの望遠が必要 モデルさんはセンターで止まりポーズ取る マニュアルでもなんとかなるので頑張ろう モデルさんの出場順はできるだけ把握する SAITAMA RUNWAY 2024 という、ファッション系オーディションイベントがありまして、撮影させていただい

2006年のプロ機材

記事にしたとおり6月にニコンD200を買っちゃったのだけど、めでたく沼りまして……。 それからAF-S DXズームニッコール ED 18-70mm F3.5-4.5G(IF)を買って発売当時(2005年)のレンズキットを再現したばかりか、さらに当時のプロ用広角ズームAF-S DX Zoom-Nikkor 12-24mm f/4G IF-EDも買って、とりあえずの撮影ができるセットを組んだりと、さして使うアテもない機材を増やしてしまいました。 ところが、世の中なにが起こるか

個撮百景 Portfolio of a Dirty Old Man第8話:質と量のあいだに

 三脚のアイコンがあるとすれば、まさにそれだろうというシルエットの上に、これまた絵に描いたような蛇腹カメラが乗っかっていて、俺は戯画化された写真家のようにかがみながら、ピントグラスをのぞいている。格子の入ったすりガラスには、裸の女が逆さまに映し出されていた。窓から差し込む光が、スリムに引き締まった女の肌へ、曖昧な陰を落とす。俺はルーペが拡大した肌の明暗境界線にピントを合わせ、慎重にレンズボードを固定する。  こういう撮影だと、オートフォーカスは、まぁ当てにならない。だから、凹

¥300

下北沢盆踊り2024でGenesis Girlのライブに遭遇した話

横木安良夫氏のCRP FOTO 撮影会に参加したので、下北沢のストリートフォトを撮っていたところ、当日は下北沢盆踊りが開催されていました。イベントのひとつに、同地を拠点に活動しているアイドルグループGenesis Girlのライブがあったので、それも撮りました。 ストリートフォトのワークショップですが、最近は中平卓馬に思いっきり感化されちゃって、中望遠でカラーの縦位置を撮ってるんですわ。おかげで、不意に遭遇したライブにも、なんとか対応できたように思う……。 とはいえ、マニュ

個撮百景 Portfolio of a Dirty Old Man第5話:おじさんポトレとおばさん自撮りのあいだに

■個撮  個人撮影の略。撮影者とモデルあるいは被写体が、それぞれ個人と個人で行う撮影。  個人撮影には、撮影会において時間を区切り、複数の撮影者が順番に行うものと、撮影者がモデルあるいは被写体と交渉し、個別に日程を調整して行うものがある。 (亀子写写丸 フォトグラファーの口説きテク最新101 民明書房 平成31年)  梅雨のさかりというのに雨の気配すらなく、夏を先取りしたかのような熱帯夜の中、俺はヌード写真のトークイベントで微妙な味わいのシャンディガフをすすっている。本

¥300

個撮百景 Portfolio of a Dirty Old Man 第1話:手癖と即興のあいだに

第1話:手癖と即興のあいだに ■個撮  個人撮影の略。撮影者とモデルあるいは被写体が、それぞれ個人と個人で行う撮影。  個人撮影には、撮影会において時間を区切り、複数の撮影者が順番に行うものと、撮影者がモデルあるいは被写体と交渉し、個別に日程を調整して行うものがある。 (亀子写写丸 フォトグラファーの口説きテク最新101 民明書房 平成31年)  ポートフォリオサイトへ画像をアップし、更新を告知する。画像のいくつかはソーシャルネットでも新作として告知し、モデルさんや被

¥300

個撮百景 Portfolio of a Dirty Old Man 第2話:アティテュードとアピアランスのあいだに

第2話:アティテュードとアピアランスのあいだに ■個撮  個人撮影の略。撮影者とモデルあるいは被写体が、それぞれ個人と個人で行う撮影。  個人撮影には、撮影会において時間を区切り、複数の撮影者が順番に行うものと、撮影者がモデルあるいは被写体と交渉し、個別に日程を調整して行うものがある。 (亀子写写丸 フォトグラファーの口説きテク最新101 民明書房 平成31年)  にわかに暑くなった初夏の夕暮れ、ガラスのお城めいたビルの照り返しに目を細めながら、気がつくと懐かしいメロ

¥300

個撮百景 Portfolio of a Dirty Old Man第3話:テクスチャとサーフェスのあいだに

■個撮  個人撮影の略。撮影者とモデルあるいは被写体が、それぞれ個人と個人で行う撮影。  個人撮影には、撮影会において時間を区切り、複数の撮影者が順番に行うものと、撮影者がモデルあるいは被写体と交渉し、個別に日程を調整して行うものがある。 (亀子写写丸 フォトグラファーの口説きテク最新101 民明書房 平成31年)  角を曲がって待ち合わせ場所のコンビニを見たら、店の横に彼女がいた。  かつては公衆電話が立っていたであろう場所にたたずむ彼女は、サングラスにマスク姿でもす

¥300

無礼で非倫理的な路上写真の黄昏 El ocaso de la fotografía callejera sincera y no ética

Ethical Street Photographyもしくは、それに類する言葉を目にする機会が増えた。路上撮影の本場たるニューヨークでさえ、もはや同意を得ない撮影のリスクは無視できないらしい。 まぁ、自分自身も同意を得ない路上撮影は社会的、あるいは倫理的な逸脱行為だと思う。それ相応の批判、時には制裁さえ覚悟しなければならないだろう。 ただ、同時にEthical Street Photographyとか、そのへんの議論に、詭弁めいた胡散臭さや、思慮の浅さを感じている自分もいる。