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サブカル大蔵経817原武史『知の訓練』(新潮新書)

政治とは何か。その背景を探偵する本書。

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鉄道、皇居、出雲、団地。原学の集大成か。タブーに切れ込む圧巻の筆致が本当に格好良いというか信頼が置ける。

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皆が同じ時間に同じ行動をすることを政府が強制。政治による時間の管理。満洲・樺太・シンガポールも時差無しp.28

 時間の統治。太陽暦、天皇行幸、鉄道。

東京駅は新橋駅の40年後に開業した。東京はターミナルがバラバラだった。新橋・上野・両国橋・万世橋…、ターミナル各駅の統合が東京駅。p.44

 東京駅という響きのよそよそしさ。昔から感じていましたが、解答がありました。

皇居、明治神宮、新宿駅西口。/広場の政治は民主主義に必要。p.60.62

 世界の中で広場は常に舞台となった。日本の代表的な広場とは、実は皇居だった。

アメリカは信教の自由を守るため、靖国を潰さなかった。p.104

 神社とは一体何?靖国を護ったのはアメリカの文化。

伊勢と出雲。神道を宗教とすると、オオクニヌシと幽冥界が現れる。そうなると天皇もその支配下になってしまうことになる。p.128

 日本最大のカウンター、出雲。

大本に取り憑かれ亀岡の本部・天恩郷に半月住み、史料を読み漁った。p.136

 これは知らなかった原武史の歴史。

大阪の私鉄、JR乗り換えアナウンスは絶対にしない。p.173

 鉄道を通した眼差しを持つ著者ならではの気づき。この些細なことが日本の都市形態を表す標識となる。

団地に新たに入居した人たちが共産党や社会党、革新政党を支持。郊外に団地ができるほど革新票は伸びた。p.179

奇書『滝山コミューン1974』に詳しい。

1900年大正天皇結婚。二十歳。相手の九條節子は15歳。今なら犯罪者。p.213

よくこんなこと書けるな^_^と思いながら事実を掘り起こしていく迫力。

最高の政治家・現皇后。p.220

その通りであり、少し恐ろしさも感じる皇太后の凄み。皇后から見た原さんの皇室史視点は本当に目から鱗の連続。松本清張に関する著書でもこのことが特記されていました。

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