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サブカル大蔵経157 松崎明/鈴木邦男『鬼の闘論』(創出版)

 西岡研介さんらが著書で追求してきた松崎明が登場する対談本。なんとなく昔買っていたが、今あらためて読むと興味深い。二人の鬼。

 鈴木邦男さんは昔からエスエル出版のプロレス誌に出ていたくらいのプロレス者なので、武闘的の体をとりながら自虐的にひとり受け身をとり聞き手に回りますが、その誘い水になかなか松崎明は乗ってこない。極左というより、野中広務のような百戦錬磨の反戦保守の趣き。こうやってみな籠絡されたのかと少し迫力を感じたが、自己正当化の本なのか。

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鈴木。労働組合と言うのは、反権力か反体制だと思っていたんですが、権力に対抗するはずの労働組合それ自体が1つの権力になっているわけですか。

松崎。まぁやっぱり労働組合のダラ幹と言うのは安定したいい位置ですからね。何しろ経営者の皆さんは大体一流大学を出た人たちでしょ。そういう偉い人と対等に付き合える。国鉄時代当局がよくお守りと言ってましたよ、組合の幹部をお守りすると。だんだん勉強しなくなるんですよ。p.71

 労働組合と学生運動がいまだに謎なんですが、反体制のトップを取り込む体制側という図式なのでしょうか。

鈴木。街宣車では君が代は国歌だ。これから流すから一緒に歌うように!と街で言っている。僕だって聞いていて恥ずかしくなって、誰がお前なんかと歌うかと思いました。日の丸は右翼の旗じゃないし、君が代は右翼の歌ではありません。国民全体の旗であり歌で、議論をしないで強制するのはダメだろうと思います。p.77

 国土を憂う右翼と革命を目指す左翼。どちらもネトウヨと安倍政権の時代になり、右翼は消えてヘイトスピーチになり、公安がマークするような共産・左翼も消えて、日本会議と市民グループが地道に活動しています。

赤尾敏は、競艇・競馬・競輪に皇室の賞出すのおかしい。ギャンブルで一家離散したり困ってる人がいるんだからそういうのに、天皇を利用するのはおかしいと言ってたんです。p.80

 初めて東京に行った時、赤尾敏のビラが高架下に貼ってあったのを見て、東京に来たなとなぜか実感した記憶があります。

鈴木。俺は愛国心がある、俺には死ぬ気がある、なんて声を大きくしてるやつは信用ができないんです。そう言う奴はすぐ運動をやめていました。p.100

 今も昔も政治家の典型的な怪しさ

鈴木。僕は民衆とか暴徒とか人民とか名前を変えても同じだと思うんですよ。そんなに立派なものじゃないと思うし、暴走するものですよ。それは愛国心の名のもとに行動するわけですよね。無責任に言ってるやつはほとんど右翼じゃなくて、その辺の気の弱い奴なんですよ。p.176

 民衆は現在さらに暴徒化しているか。

松崎。私なんか左翼じゃないのに左翼だと盛んに宣伝される。戦争反対と言ったら左翼になるんだったら、その限りにおいて私は永遠に左翼です。p.219

 戦争反対という旗頭を出されると…


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