サブカル大蔵経893武部健一『道路の日本史』(中公新書)
私は道路が大好きです。
日常や旅先で脇道を見るとそこへ入りたくなるし、写真も、対象物には道路を入れて写しますし、付随する看板や標識も大好物ですし、道がすべてというか、道になりたいくらいです。
いざという場合に、一番役立つのは道路なのだ。そして、それは必ず国家という政治の基本母体が後ろに控えている。p.ii
その道路のロマンを〈国策としての道路〉という観点で、古道から高速道路まで著述する本書。元官僚として国策に関わる中で日本の道路史を調べる道に入られた著者。
「道路とは、交通のためにそれに耐える基盤を持ち、その上に一定の空間を連続的に備えた帯状の施設」p.223
著者が定義した道路の貴重さに感じ入る。
明治は、道路にとっては冬の時代であった。新政府の交通政策は鉄道に傾斜していた。p.143
道路よりも鉄道。類書にも詳しい。
戦前の自動車国道構想。札幌から日本海沿いで稚内。p.175
幻のオロロン高速道路。
その計画を有料道路とするとともに、借款を世界銀行に求めることとした。p.190
名神のはじまり
ところがドルシュは、まず柔らかい鉛筆を持てという。そして等高線の入った地図上にフリーハンドで線形を描けという。p.193
カーブ連続の、柔らかい高速道路の誕生。
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